合縁奇縁とはこのことか
 「福岡空港周辺の気温は、26℃、天候は、雨」

 着陸直前の機内アナウンスに、どよーんと気が重くなる週末の九州到着。8月下旬の二つの台風をうまくかわせたと思っていたのに、最近の福岡市は、連日ゲリラ豪雨の警報なのだという。
 初めて訪れる九州。初めて乗る、マツダロードスター。それで初めてうかがう、ウエストウインのベース。これだけ初物ぞろいだったら、豪雨程度では済まないだろう、嫌なジンクスが、つくばーどにはある。
 ・・・全然、自慢にならない。
 マツダレンタカーの福田さんが、てきぱきと手続きを済ませると、銀色のNC型が現れる。7月はじめにマイナーチェンジした、最新モデルだという。オドメーターをみたら、26キロ。
 いいのか? こんなの借りてしまって。と、おおいに恐縮しつつ、福岡の街へと走り出す。
 しかし当たり前のことだが、走行中にはカーナビゲーションの操作ができない。ウエストウインの場所がわからない。などとやっているうちに、つい高速道路に乗ってしまったから停止もできない。
 雨のなか、天測もへったくれもないので、記憶に従って東区の位置関係を思い出し、太宰府、と出てきたジャンクションでルートを乗り換え、福岡インターをめざす。
 こういうタイミングがスイッチを切り替える。福岡市内へ戻るに連れて雨足は弱くなり、写真でしか見たことのなかったウエストウインの店舗を発見する頃には、雨はあがったのだ。

 「ようこそ福岡へ! それにしても似合いませんねー、そのクルマ」

 teamWESTWINの島雄司監督が出迎えてくれる。

 「面白い人を紹介しますよ。スーパースージーでうちのレース記事を書いてくれている、高橋陽介さん」

 それは願ってもない偶然だったが、お店にやってきた高橋さんが乗っていたのが、NB型のロードスターだったのだ。にわか作りで、このクルマのミーティングを設営してしまう。
 バイクと四駆のお店の軒先で、である。
 ロードスターを借りたのはちょっとした悪戯心によるものだが、スーパースージーのライターさんがロードスター乗りだというところは、意表を突かれた。
 そしてこの車体色のNB型、福岡。昔の話だが、懐かしい人を思い出させる出来事でもあった。その彼と高橋さんには接点はないけれど、高橋さんも分け隔てのない車好き。四駆屋さんで盛り上がるロードスター談義は、けっこう痛快。