teamWESTWINの真実
 いま、ススキエスクードを全国で最も著名にしているのは、ハイスピード・ダートトライアルのTDAというローカルレース。
 ローカルだからといって侮ってはならない。四駆を使ったレースそのものの面白さだけでなく、スポーツとして取り組む以上、作り手も参加者も、楽しみながらも礼節を第一に考えようという太い理念を抱いている。

 「かっこいいという言葉は、どこから切り口を選んでも本当にかっこよくなければ嘘になってしまう。嘘が醸成する社会的なマイナスイメージを、クルマに擦り付けてはならないし、そこで一所懸命戦っている人々にも、いやな思いをさせたくない。だから、うちの教育方針は厳しいですよ」

 島雄司監督は、teamWESTWINを率いる傍ら、TDAの企画と共同運営に尽力している。かつては自ら車を制作し、ドライバーとしてレースに参戦していた。
 残念ながらそのシーンを見ることはできなかったが、彼と知り合ったとき、一旦の引退を表明しながら「私が育てた第二世代がいます。彼らの戦いを見てやってください」というメッセージを受け取っている。
 それがこのチームにエスクードを本格的に投入してもらうきっかけとなり、三菱勢であった第二世代のトップドライバーを、二人ともエスクード乗りへと転換させていく。
 マイナーな車であったが故に、エスクードはダートラの世界ではノーマークだったが、その戦闘力はクロカンステージで使うよりも遥かに似合った場所なのである。
 熱血の後藤誠司、クレバーな川添哲郎という、若く非凡なドライバーが、このマイナー四駆に火を入れた。彼らにパイロットしてもらい始めた2010年以降、九州のダートラでは台風の目である。
 監督、ドライバーだけではない。パーツ製作や組み付け、板金、塗装と、様々な若手のスタッフが、15年前に世に出た、かろうじて最終型とは言え今やロートルもいいところのエスクードを整備しモデファイする。
 彼らは、デビューした頃のエスクードなど知らないはずだ。

 「クルマ屋商売ですから、視線の先にはお客さんという絶対の市場を見てはいます。まあそれでも、売らんかな、だけの仕事をしていたら信用されないし、私自身も楽しくない。車を通していろんなことを伝えて、また教えてもらって、今の私があります」

 島監督はエスクードを若手に委ねながら、自身は2インチアップのエブリイワゴンや、5インチアップのキャリイトラックなどを制作している。
 なんだかどこかのESCLEVっぽい真面目なレポートになってしまったではないか。これがウエストウインの真実だが、日が暮れると豹変するのもまた真実。
 集まってきたチームの面々と呑み始めると、親分肌でありながらも子供に戻る。翌日の二日酔いなど考えもせずに呑む。説教もする。でも、とことん一緒になってバカになる(いやいや、チームの面々は決して馬鹿ではない)
 とても楽しく、大切な友人たちを得られた気持ちになる、福岡の夜は老けていく。貸切開放してくださった洋食屋さん、もつ煮、美味しかったです。ごちそうさまでした。