憧れの火の国の片鱗へ
 一夜明けた福岡市の空は、雲は多めながらも強い日差し。誰がどう見たって雨は降ってこない。
 宴会の二次会とともに泊めていただいた、新築の後藤邸(うらやましいほどシックで洒落た二階建て)をあとに、120キロ先の熊本県大津町をめざす。
 パワーリトラクタブルハードトップと6速のアクティブマチックという装備は、ぷらすBLUE(エスクードコンバーチブル)と比べたら至れり尽せり。人によっては「そんなのはロードスターの本質じゃない」などと言われそうだが、これで1170kgだという。すると、ぷらすBLUEは四駆で1040kgだから決して引けを取らないぞ、などとどうでもいいことを考えながら走る。
 BLUEらすかる並みの馬力(数字ではNCがちょっと上)で、直四のFRはとても快適に走り、旋回性能も抜群。だけど、数字ではなく体感として、けっこう重い。ぷらすBLUEは、アンダーステア気味ではあるけれど、軽さを実感できる。
 聞くところによるとNCはこれが最終型で、来年モデルチェンジするとか。新型では1000kgという軽いのが出てくるとか。そういう方向性、エスクードにも欲しいと思っているうちに、熊本のエスクード仲間、だんご班長さんとニケさんたちが到着。鹿児島からしんいちさんも駆けつけてくれた。
 
 「車の返却がが3時なら、午後1時まで時間が使えます。阿蘇五岳の西はんぶんは廻れるでしょう」

 だんご班長さんの先導で、外輪山の北カルデラへ向かって、三世代のエスクードのしんがりに付く。森を抜けて標高が上がるにつれ、カルデラの稜線から内側が見え隠れして、九重連山や阿蘇の山並みが見えてくる。

 「朝早ければ雲海。日が暮れるまでいられれば、この辺一体に、ユウスゲがオレンジ色の花を咲かせるんです。そんな景色もお見せしたかったけれど」

 案内された大観峰の突端は、このあと巡った草千里浜とともに、憧れの場所であった。なぜここに、今まで来ることがなかったのか不思議なほどに、今日のためにとっておいたような雄大な景色が待っていてくれた。
 カルデラの内側へ駆け下り、雑談しながら昼食をする。あわただしく阿蘇中岳方面に駆け上り、草千里浜と火口の風景へたどり着いたところで、午後1時。
 また来ます。その時には桜島にも行きます。約束をいつ果たせるかは見当もつかなかったが、九州のエスクード仲間たちに見送られ、一路福岡に向けてロードスターを走らせる。
 本当に、ありがとう。必ず、また来るから。