7月19日(土) 《つくばーど in 札幌》

 つくばーど始まって以来の遠距離夜会である。しかも、四国在住で「讃岐うどん弾丸ツアー」のコーディネーターをつとめた香川のスピードマスターさんが、なぜかここにいるのだ。
「参りましたわ、まさか最終日の宿がニセコに飛ばされるとは」
 定山渓温泉に宿泊するはずのスピードマスターさんは、ダブルブッキングをくらってニセコ泊まりを余儀なくされたが、中山峠を越えてレンタカーでやって来てくれた(帰りが悲壮感漂う距離だなあ)
 エスクード仲間の一人であるけいすけさんも、彼女同伴で北見市から300km以上の距離を走り、仕事のあった日だというのに駆けつけてくれた。彼がいちばん大変であっただろう。
 集まったあとはいつものノリである。
「エスクード関西勢の熱は異様ですわ。写真ひとつ撮るにも型式の並びがどうとかフロントの停止位置がこうとか、めちゃこだわってる。それでもって一心不乱に写真を撮る光景は、すごかったですよ」
 うどんツアーの様子を聞かせてくれるスピードマスターさんも、最近ぬいぬいの一族にエントリーすべく、小トトロを手に入れ、これを僕が連れて行った怪盗羅須軽小僧弐号と並べて、一心不乱に撮影する。
 彼も素質充分(何の?)
 けいすけさんには、Grage.Mさんから預かっていた5型エスクード専用のマスターシリンダストッパーを引き渡した。たけじぃさんとは林道ツーリングやオフロード走行で遊んだ仲だったが、彼のTD11Wゴールドウィンは少し前の冬、凍結路でクラッシュして全損した。それ以来会う機会がなかったために、心配していたのだけれど、元気な顔を見ることができて安心した。
 夜会は恒例の丑三つ時お開きとなった。
7月20日(日)《つくばーど in ニセコ》

 10:30。230号線の中山峠で、雲間から頂上を出す羊蹄山を眺めているところへ、昨夜は札幌には来られなかったhanapyさん親子が日産サファリでやってくる。草花を相手にすると、この年頃の女の子達は、観光地など関係ない。きれいな花が沢山咲いていれば、そのへんの路肩でも小一時間は遊び回る。
 hanapyさんは羊蹄山からニセコアンヌプリにかけての地形や、自然環境について説明してくれる。羊蹄山の湧き水を飲めば、それは50年前に降った雨だという。この先北海道に雨が降らなくとも、むこう80年分くらいの地下水として蓄積されているという。はなちゃんもとても博識で、喜茂別あたりでは雲に隠れて見えない羊蹄山について、「ニセコの方に回り込めば雲が途切れて見えるよ」
「暖流と寒流が釧路の沖でぶつかるから霧が出て・・・」
 ああ、ようやく北海道らしい話題を書いている。
 子供たちはガラス細工のサンドブラストに挑んだ。下絵をカッティングシートにデザインし、これを切り取ってグラスに貼り付ける。線と面の使い方がコツだが、そんなことはお構いなしにデザインを決めていくから、このあとどうなるのか心配と思ったけれど、はなちゃんの予告通り、雲が切れ始めて羊蹄山が姿を現してきたので、僕だけ工芸店を脱出。近くのあぜ道にそっと分け入り、写真を撮る。
 工房に戻ると、砂による削り取り作業は終わっており、子供たちがデザインした絵の部分を除いて、グラスは磨りガラスに変化していた。
7月21日(月)《再び苫小牧へ》

 21日9:30。真駒内をあとに、札幌中心部にやってくる。時計台とテレビ塔と旧道庁の前で、らすかるを撮影しなければ、北海道に来た意味がない。
 だが、この手の撮影は強引にクルマを寄せていかないとスペースをこじ開けられない。特に時計台は小さな敷地に観光客がひしめく。それを乗せてきたハイヤー・タクシーも列を成す。
 ここは無理にもクルマを寄せたが、寄席が足りないと言う始末。旧道庁前の並木道のパーキングチケットゾーンは、幸いにもがら空きだった。ゲリラ撮影を済ませて、支笏湖に移動。樽前岳や恵庭岳の様子は、霧で臨めなかったが、贅沢は言わない。
 いとう温泉で湖畔に突き出た天然露天風呂に浸かる。子供たちは温泉好きであるため、露天風呂と聞いて目を輝かせる。支笏湖をあとに一部林道を経由して、白老に出る。ポロトアイヌコタンを最後の立ち寄りとして、苫小牧フェリーターミナルへ。
 大洗に比べれば数倍は大きな苫小牧埠頭。到着30分で車両乗船。1時間後には同乗者の徒歩乗船が完了した。
 北海道の旅はお開き。22日12:35には、再び大洗の港に上陸する。

 これほどの距離と時間を要するツーリングは、いつものように仲間を誘って実現させるにはハードルの高いイベントだ。その代わりに、ソロで気ままなツーリングの醍醐味を楽しむことは出来た。
 しかしそれも、往く先々で待っていてくれる仲間があってのことだった。
 またトライしたい。願わくば、仲間たちとともに旅をしてみたい。