つくばーど in 秋田縦断漂流紀行
大館から仙台まで高速道路は無いものと設定
 この距離を走るのは初めてのことではなくて、実は3月19日の夜に、猛吹雪の中を逆方向に移動している。それはそれで面白い(仕事だったので気分的には大変面白くない)のだが、東北も7月となれば、秋田側の海沿いを走らなかったら碧く蒼い海と空を眺めることはできない。
 すると、そういう段取りが可能な出張が巡ってきた。しかも初日に大館、二日目に秋田市という組み合わせだ。めずらしく宿泊できるのだが、温泉宿に泊まれるような経費はないので、秋田市内のビジネスホテルを使うことにする。
 往路は鹿角八幡平まで東北道を使わなければ、仕事を始める時刻に間に合わない(3月のときは雪で東北道を止められた)。夜中のうちに高速をひた走る。目的地は大館側から北秋田市に入り込む山の中だが、
 「県道で入ろうとすると通行不能区間があるから、分岐を間違えないように」
 と言われている。この表記はツーリングマップルには記載されていないが、県道の反対側から通行不能区間との分岐まではわかりやすかった。集落を抜けたら道が分岐しており、県道が明らかに自転車か徒歩でないと走れない幅員で、夏草に埋もれている。
 目的地へは、分岐側の林道を経由していくのである。さすがに冬期閉鎖されるそうだが、カーブミラーの古さから見ても、長く生活道路として使われているらしい。しかしこのあたりにも、5年後には国道のバイパスとして日本海沿岸東北道の一部が開通するそうだ。トンネル掘削や橋をかける工事現場が、そのルートを浮かび上がらせている。

 というわけで、北秋田での仕事は午前中で完了(いったい何をやっているのだ?)し、山を降りると気温も上がってきたので、国道を移動して田沢湖を目指す。絶妙の空色を映し出す湖面ほどに、湖水は綺麗な状態ではないという。
 開発によって酸性化し、魚類が生息困難な環境だった田沢湖の中和事業も始まって久しい。が、生活排水などの混入もあり、今度は富栄養化しているそうだ。
 そんな話を聞きながらつついていた焼き魚定食には、多少罪の意識を感じたので、残さず平らげたのはいいが、写真を撮るのを忘れている。田沢湖での昼食を済ませて、角館へ向かうのは定番すぎだが、とりあえず武家屋敷に立ち寄る。
 いつの話だと言われそうだが、新婚時代に訪れて以来の武家屋敷エリアは、知らないうちに観光拠点としての整備が進み、逆に迷子になりかけた。

 夕刻、秋田市内のビジネスホテルにチェックインの際、謎が生じる。
 「雷蔵様、以前お泊りいただいているので、ご住所の記入は必要ありません」
 はあ? なんだそれ、このホテルを予約するのは初めてだぞ。と一瞬思ったのだが、面倒くさい記入事項が減るならまあいいかと説明に従う。近所に完成したての美術館やら商業施設やらがあるので、翌日の仕事に備えて見物に行く。
 その再開発エリアで、閉店近かったが、稲庭うどんと比内地鶏をやっている店を見つけ、入ってみると、まだ和装を着なれない女の子(雰囲気は女将のようなのだが)が案内してくれる。比内地鶏は硬いと思っていたけれど、この店の焼き物はほどよくやわらかさも残っていて、うまい(またしても写真撮り忘れ)

 明けて土曜日、街づくりの担当者に話を聞きに行く(仕事)。そこは書いてもつまらないので割愛。広場ではお祭りをやっており、8月に行われる竿燈祭りのミニチュア版を見ることができた。
 ここから国道7号線で、酒田まで走る。距離? 数えたところで、走らなければ帰れないので、何キロあるかを考えるのは無意味。途中、にかほ市の沿道には、回転寿司ながら食材の秀でた店がある。中トロとえんがわは、おすすめできる(たしか、昨年は、金曜日の昼飯時だと大トロ、中トロが半額だった)
 酢飯と醤油で口の中がいくらかねばっこい。寿司を食って間もないが、山形との県境を越える前に、ババヘラさんを見つけてアイスを買う。秋田の夏の風物だ。と、思ったら、山形県に入っても売っていた。

 7号線のんびりツーリングも、鳥海山を過ぎたところで終了。15時間後にふっじいさんがやってくることは予想できず、国道を乗り換え最上川沿いを走る。ところが47号線を新庄市内の信号待ちで、3台の観光バスに先行されてしまった。
 山越えの天候が悪そうではあったが、赤倉温泉への分岐点で国道を離れ、南側を走る県道で宮城に入ることにする。5月終わりまで、宮城側が雪に閉ざされていたことを、野宿ライダーの寺崎勉さんが書いていたが、もう雪はないだろうと、約13キロのダートを進む。山形側はよく整備されている。宮城川は藪気味。しかし対向車も後続車もなく、ゆったりと大崎市へ下り、立ち寄り先に顔を出して無事に帰路につくことができた。