2000年からほぼ毎年何度か、新年会を中心に設営してきたつくばーどin岩間は、定宿だったあたご天狗の森スカイロッジがハイレベルのグランピングサイトに転向したことで、ロッジでの開催が困難となってしまった。
 このまま消滅していくのを見ているだけでは能がない。霰と霙を率いて、あえてグランピングサイトのオープン日に宿泊した。
 リニューアルされた施設はETOWA KASAMAの名を与えられ、収容定員を大幅に減らした。

 

 残念なことだが、新型コロナウイルスが蔓延する世の中、三十畳敷きクラスの部屋に大人数が集うことは大きなリスクをはらみ、事実上これまでのスタイルでは、つくばーどin岩間は開催できない。
 あの大型ロッジは、フローリング化され定員6名に削られ、駐車場は新たに一張り24uの大型テントと、これを設置するデッキテラスが6か所建てられた。
 屋外バーベキューサイトの食器洗い場はカウンター形式とテーブル2脚のアウトドア・バーに。バーベキューサイトの一つは焚火用スポットに模様替えされた。
 なによりもグランピングスタイルを前提とした利用料金が大きく跳ね上がり、手法を再考しなければ気軽にイベントを招致できないだろう。


 ロッジはこれまでにも利用してきたので、今回はテント泊の予約を入れている。
 ベッド2人分とソファーベッドの、定員3名。この時点で我が家では1人参加できない。グランピングテントのサイズが3名である理屈は知らないが、2食付きで、温泉があるわけでもなく入浴も時間限定のシャワー。トイレは公共用で場所も遠い。 
 テント内には常時空調が効き、スマートスピーカーまであるというのに、グランピングでありながら、キャンプでよく言われる不便を楽しむも残されているのは、いささか苦笑する。
 グランドオープンの日、宿泊客は9組あった。4人用、6人用旧ロッジも含めて全体の半分というところだ。もともとインバウンド狙いの節もあったし、オリンピック需要にも期待があったことだろう。おそらく茨城県では初のグランピングサイトが、今後どのように人気を集めていくのかが気がかりだ。


 食事は夕食、朝食とも「看板の方が偽りあり」と言えるほどの豪勢さだ。オープニング時の特別仕様かもしれないが、バーベキュー用の常陸牛は見本写真よりもボリュームがあり、道具も使いやすい。普段ならこれをデッキテラスで楽しむのだが、初日は午前中が土砂降り、午後からは霧がまき、管理棟の食堂スペースに場所を変えることとなった。
 はて、車いす利用者が来場した場合、雨天だったら2階の食堂にどうやって案内するのか。デッキテラスも含めてユニバーサルデザインについてはまだ不十分だ。
 食事量は女性に基準を置いているという。若い男の子には物足りない分量だが、追加オーダーは可能だ。ちょっと目を引いたのは、牛肉、鶏もも、ローズポークなどオプションメニューの中の「常陸牛の牛すじミニカレーライス」だ。
 そう、つくばーどin岩間は、イタチョーのSIDEKICKさんによって、毎回カレーライスが軸となり、時には参加者が独自の別味付けカレーを持ち寄るスタイルだった。もちろんその20年をシェフが知る由もないけれど、「コース以外にカレーライスをやりたい」と提案されたのだとか。
 美味い物を波状攻撃のように持ち寄るつくばーどin岩間の雰囲気は、良質な肉や野菜とともに、この牛すじカレーで継承されているようだ。
 明けて翌朝の食事もローズポークのポトフや本格的に野菜と果物をベースとしたスムージー、地元産野菜のピクルスと濃厚ヨーグルト、自ら調理するフレンチトースト。地元にこれだけの素材があったのかという関心事より、地元ってどこからどこまで? という謎が浮上するが、これでコーヒーポットがついていたら言うことはなかった(ドリンク類は別オーダー)


 「楽しいしおいしいけれど、この値段で友達を誘ったら、来るかなあ」
 「1人当たり20000円弱って、グランピングではまだ安めな方ですか?」
 霰と霙は率直に言う。
 決してサービスは悪くない。新しいスタッフも気さくで親切だ。
 例のGo toキャンペーンの適用はあるようなので、その期間中は多少の減額サービスとなるだろう。リピーターにつなげていけるかどうかがETOWA KASAMAの課題だ。7月現在、デイキャンプのプログラムも検討中で、休止しているバーベキューサイトの拡充を行うそうだ。
 ただ、その場合今後は、敷地の外の大駐車場から歩かねばならないことと、その大駐車場に施設用台数分をどのくらい確保できるかという問題もある。つくばーどですら20台分はほしい。年末年始や花見の折、あの混雑の中でそれをできるのかどうか。

 さて今後のつくばーどin岩間をどうするか。コロナウイルスの動向によって左右されるが、行事自体は場所を移して、宿泊に頼らないやり方で継続しようと考えている。一番良いのは暑気払いなのだが、夏の内に開催できるかどうか。それはリクエスト次第かな。