みずきち80さんがクロスアドベンチャーに乗り始めた時、井の頭の住人さんが、彼につくばーどサイトのことを教えてくださり、さらにこちらのメッセージを伝えてくれた。
 そうして、岩手県在住のみずきち80さんが仙台に帰省してきた折に、お目にかかることが実現した。
 ユーザー登録され、公道を行く5型のエスクードを初めて見る。
 合流した仙台市内の喫茶店(珈琲がたいへん旨い)で、しばし雑談する。
 みずきち80さんは、東北各地の山間部から沿岸部の様々な場所に、ライフラインとも言うべき情報インフラのメンテナンスに走り回る技術者。いま、東北の復興には欠かせない人材だ。
 職場でも二代目エスクードを扱ったことがあるという。三代目は基本設計を新たにしているが、信頼性は高いと、クロスアドベンチャーを手に入れた。

 「確かにスペアタイヤがないことは不安材料になりますが、カジュアルな方向に進化したという意味では、初代も二代目も同じベクトルで変わってきたと思います。仙台で一泊しましたが、八戸から南相馬まで、慣らし運転でさらっと走って、疲れが全く出ない。
 前に乗っていたスイフトは人車一体感があった分思いのままに走れたけれど、車への負荷が自分にもかかってくる。エスクードはそういったところを良い意味で打ち消してしまうんです」

 自分も含めて、どんな評論家が何を言おうと(自分は評論家ですらないけど)、このようなみずきち80さんの言葉には絶対にかなわない。実際に乗っている人の意見を聞くことは、一番の情報源なのだ。
 エスクードの三代目に関しては、以前から職場に乗ってきていた後輩さんがいたそうで、ディメンションや全体的な印象もつかんでいた。
 クロスアドベンチャーを選ぶことには、さほど迷いはなかったという。

 「今は乗り換えてしまって、職場も退職した後輩なのですが、雷蔵さんは『東北旅行記 エスクードがゆく!!』というブログサイトをご存知ですか?」

 よもやこの場で、そのサイト名を聞くことになるとは思いもしなかった。
 それは何年か前に、短い期間だったが交流を持っていた、KOUTAROさんという若者の旅行記で、実際に東北転勤以前にはツーリングなどの参考にさせてもらっていたところなのだ。
 そのKOUTAROさんと、みずきち80さんが知り合いだという偶然は、驚かずにはいられない。

 「彼はスプラッシュに乗り換えて、今はバイクでのツーリング紀行をメインにしています。でも、割と近くに暮らしていますから、今度いっしょに会いましょうか」

 最も新しくなって、ユーザー層が広がり、コミュニケーションの手段が薄くなってきたと感じることのあった三代目エスクードだが、みずきち80さんには、古いエスクード乗りたちと同じビートが息づいている。
 そして異なるジャンルに脱皮したかのように思えていた5型をあらためて見せていただくと、4型あたりで改良された様々な部分を発見する。
 真面目なクルマ作りが行われている。
 らいとにんぐにしてしまうにはもったいないほど充実した日曜の午後。再会を約束して、みずきち80さんは、東北道に乗っていく。
 次はこちらから、岩手を訪ねていこう。