《そして「たちばな」のとん汁とめぐり逢った》

 2001年5月、嵐田・春夏組のらすかる(そうなのである。この頃、まだらすかるには、あーまーど装備が施されていなかった)は、池の平界隈で路頭に迷っていた。
 上越のエスクード乗り(現70プラド乗り)のきうさんと、ジムニー乗り(現ランクル70乗り)のふっじいさんが企画してくれた『とん汁ミーティング』に参加するため、真夜中の上信越道を妙高高原までやってきたものの、ビバークを予定していた24時間対応の温泉施設が、入り口に「いま深夜営業やってません。開店は8時からね」旨の張り紙を出していたのである。
 午前4時。国道を下った道の駅あらいくびき野の集合は、10時だ。
 ど、どうするっ!? 確か開業の一番早い温泉でもあと2時間くらいは待たねばならない。
 しかしこういうとき、春夏秋冬氏は余裕をみせる。
 「山の写真と森の写真でも撮ろうぜ」
 これぞつくばーど流儀のいきあたりばったり。らすかるを降りて、池の平のブナの森にそっと入り込む。端から見れば、ネイチャーカメラマン。その実、眠い。仕事が退けてからそのまま走ってきたため、風呂と仮眠を逸したのは痛恨事であった。ついでに腹も減る。
 ブナの森で遊び、温泉の開店と同時に露天風呂に浸かって、一路合流箇所へ(かなりはしょっている)
 5月の陽気は、飯綱や黒姫の山にまだ雪を残しているものの、下界は夏のような日差し。気温はどんどん上がっていく。
 たくさんのエスクード仲間と、久しぶりに顔を合わせ、初めて出逢うエスクード仲間と挨拶をかわす。富山、岐阜、大阪、新潟、静岡、長野、東京、茨城と、様々な地域から様々なエスクード/レバンテが集まった。
 きう・ふっじい組の案内で、そのお店『たちばな』に出かけ、上越組の彼等がずっと自慢していたとん汁定食を食う。
 えっ? なんだこの大盤振る舞いなボリュームは? 大盛りは頼んでいない・・・と、困惑しながら隣で大盛りを食い始めた仲間の前の器と中身を見て、ぎょっとする。なるほど、自分が頼んだのは間違いなく普通盛り。普通盛りだけれど、食いきれるのか???
 これが、とん汁ツーリングの始まりであった。
 エスクード仲間には、このとん汁定食を食いに行くためだけのツーリングがあるのだ。きうさん、ふっじいさんとも、車は乗り換えたが、彼等のとん汁ツーリングスピリッツは今なお続いている。