《仮面ライダー2号誕生編を再現する》

 ショッカーが送り込んだ仮面ライダーは、偽物であっても偽物ではない。首領の言葉通り、彼等は本郷猛と同等の能力を有し、さらに電磁サーベルや光線銃で武装している。サイクロンの性能も、テクニックを除けば互角だろう。
 猛は焦りを覚えた。新たに作り直した自分自身のサイクロンを、もっと強化しなくては、仮面ライダーとしての力を彼等よりも高めなければ、勝ち目はないかもしれない。
 その折、本郷邸を一人の男が訪ねる。毎朝新聞の記者と名乗る男、一文字隼人だ。一文字はこの数ヶ月に起きた怪奇事件に、国際的な、社会的な暗部からの影の力を感じると、取材をしているという。
 しかし猛は、コーヒーカップを持つ一文字の手の甲に、改造手術の傷跡が浮かび上がるのを見逃さなかった。本郷邸をあとにした一文字を、猛は尾行する。だがそれこそが猛の運命を決定した。
 「あんたが俺のあとをつけてくることは計算済みだ」
 一文字隼人は、ショッカーの一員だったのだ。
 もみ合いとなる猛と一文字を、樹木の上から狙撃手が狙い打ちする。銃弾は間一髪、猛をかすめて一文字の側頭部に弾けた。
 猛の暗殺は失敗に見えたが、この間にショッカーライダーが至近距離で包囲網を完成させていた。猛のサイクロンは地下研究所に置いたままだ。
 猛は茂みの中を逃避しながら、サイクロンの隠しゲートに近づき、待ち受けていた何人かを撃退しながらも、サイクロンに乗ることはできた。
 「ここではサイクロンを直線コースに乗せられない。スピードを上げてエネルギーを蓄えなければ、変身できない!」
 本郷邸を取り囲む深い森と茂みが、猛にとって仇となった。変身のチャンスを得られぬままに、行く手を阻まれた猛は、遂にショッカーライダーの凶弾を全身に浴びて倒れてしまう。
 「とどめを刺して引き揚げるとするか」
 ショッカーライダーも半数に減っていたが、勝ち誇った彼等が動かない猛に銃口を向けたとき、その腕をなぎ払う光線銃の輝きがあった。
 「だ、誰だ!?」
 爆音が轟き、丘の上に人影が現れた。
 「ぎょっ!? か、仮面ライダーっ?」
 「ばかな! 奴は、本郷はここに倒れているのに!」
 突如出現した“もう一人の仮面ライダー”は、瞬く間に狼狽するショッカーライダーを撃退した。
 猛はライダーによって研究所に収容されたが、既に絶命していた・・・



 ショッカーライダーとの第2ラウンドで、本郷猛は壮絶な最期を遂げる。原作では、サイクロンは常用型ではなく、戦闘形態となって猛のリモコンに呼び寄せられるが、ここではショッカーライダーとの性能差を表現するため、変身していない猛同様、変形していない状況に置き換えてある。
 第1ラウンドではショッカーライダーの中に紛れていた「スーツに線入り・赤ベルト」の仮面ライダーを、脳改造の呪縛から解かれ、猛を救出に向かう一文字隼人としてアピールしている。この2号ライダーは、アルティメットエディション(栄光の8人ライダーマシーン)に同梱されている桜島2号と旧サイクロンで、ライダー以外に、サイクロンの排気管がシルバー塗装され差別化されたものとなっている。サイクロンはこのほか、タイヤ・ホイールの素材が異なっている。
 なお、原作版に登場する一文字隼人は、スーツ姿で現れるが、サングラスを着用している。スーツへの改造は手間がかかるので、コレクターズエディションのジロー&サブローからサブローを流用し、原作・テレビ編初期の一文字隼人共通デザインである白いパンツ、ノースリーブジャケットに黒い長袖、深紅のスカーフへと塗りかえてある。
 変身していない隼人が乗っているサイクロンは、戦闘場面との時間的なイメージを変え、2号ライダーとして覚醒したあとの場面とするため、意図的に改良型に載せ替えてある。
 

 一文字隼人の素性は、フリーカメラマンであった。公害訴訟の渦中で行方不明者や他殺とおぼしき猟奇殺人の謎を追って、ルポルタージュ取材の中、ショッカーの存在をかぎつけてしまったために拉致され、ショッカーライダーの一人として改造されたのである。
 仲間の狙撃を受けて昏睡状態に陥ったところを、立花藤兵衛によって本郷邸に運ばれ、手当を受けているうちに意識を取り戻し、脳改造によるショッカーの支配から解放されたことを知った彼は、負傷した身を省みず、猛の救出に向かったが、手遅れとなっていた。
 「おまえの意志は、俺が受け継ぐ」
 本郷邸研究所で、隼人は小さな手術を受けた。
 遺体から摘出され、生体機能維持カプセルに収められた猛の脳髄は、研究所のメインコンピュータとリンクされた。猛は肉体こそ滅びたが、心と意志をこの世に残すことができた。隼人は、常に猛の意志と通じることができるよう、特定の精神感応通信を行える能力を付加されたのである。
 「いつも二人だ。二人でショッカーと戦おう」
 仮面ライダー2号の誕生であった。


※ このページ自体は、原作とは異なる画面展開で、つくばーどアレンジが施されています。