《ZOをもたらすもの》

 最高速度1300km/h(!)を誇る、仮面ライダーZOのマシン。
 誰がどのようにして開発したかは語られていない。麻生勝をZOに改造した望月博士は、臨床遺伝子工学の権威であるため、彼自身にオートバイの開発ノウハウがあるとは思えない。もっとも、望月博士の研究室の設備投資は尋常ではなく、ネオ生命体開発研究のバックボーンとなる背後関係の存在は否定できない。その背後関係筋に、ネオ生命体と対をなすマシン開発を請け負った者たちが存在するのかもしれない。
 しかし、もうひとつの推測によって、この未知のマシンの姿を垣間見ることができる。



 麻生が昏睡状態から復活し、東京に現れたときには、既にスズキバンディッドに乗っていた。このバイクが、麻生のZOへの変身と共に、ZOに蓄積されていた大自然のエネルギーを受けて変形する。なぜかGSX−R400に酷似してしまうが、このマシンは「Zブリンガー」と呼ばれる。
 そのカウルは、100Gの衝撃に耐え、1000℃の高熱にさらされても変質しない。この超硬質装甲によって、コンクリート壁を粉砕するZブリンガーアタックは、90式戦車をも跳ね飛ばすと言われる。ZOの的となるネオ生命体・ドラスとの初戦でこれを駆使し、ドラスにダメージを与えるが、ドラスを葬るまでには至らなかった。



 麻生勝は、完全生物・ネオ生命体開発の研究助手として、望月博士に従事していたが、その臨床実験台として、バッタの遺伝子を組みこまれた試作改造人間にされてしまった。望月博士のもとを脱走した彼は、山野を放浪する最中に落雷を受けて昏睡状態に陥る。その肉体は4年間、大樹のもとで大地そのものに護られ、大地や大気、幾多の自然の未知の力を吸収し続けていた。
 ZOの腰部には、多くの仮面ライダーに見られるベルト状の装飾や機械的な装置はなく、肉体に直接、謎の赤いクリスタルが埋め込まれている。
 これは憶測に過ぎないが、このクリスタルは、BLACKのキングストーンやアマゾンの太陽の石、クウガのアマダムなどに類似した、エネルギーのコントロールと、その応用技術である物質変換能力を有するクリスタルではないかと思われる。
 アギトのオルタリングから放出されるオルタフォースで、津上翔一のオートバイがマシントルネイダーに変形する原理と、Zブリンガーの変形は酷似している。
 望月博士の背後関係は、むしろ、この謎のクリスタルに通じているのかもしれない。