《鉄人を(力ワザで)輸送せよ》
 西暦2002年、あの金田正太郎は私立探偵家業を経て悪の組織ネオ・ブラック団と戦った実績を買われ、国際警察の要職に迎えられていた。
 彼の少年時代は、あのロボット兵器「鉄人28号」の操縦者として有名だが、その手腕は今なお現役であり、後に伴侶となった妻・陽子によって、新型の超電導ロボ「鉄人28号FX」も開発されている。かつての鉄人が今なお稼働しているのであれば、陽子の作品は「29号」でなければ納得できないのだが、FXシリーズの28番機であるらしく、たまたま、あの鉄人をモチーフに設計されていることから、要所要所に雰囲気の似たところが見てとれる。
 28号FXは、鉄人17号フェニックスとドッキングすることで飛行能力を備える。17号は鳥形の飛行ロボなのだが、鉄人と呼ばれているのは、やや理不尽だが、それを言ったらブラックオックスだってヒト型だろうとつっこみを入れられそうなので深入りはしない方が良い。
 飛行能力によって、現場へ迅速に移動できる鉄人だが、現場における稼働時間が長期化したり、その際破損や故障を生じた場合、いちいち研究所に戻ってくるのは不合理と、移動基地・エアロトレッカーが開発された。空輸を可能とするエアロキャリアと、陸路を運搬するグラントレッカーのコンビネーションで、鉄人17号、28号FX、ブラックオックスを搭載できる。また、運転席キャビンの下部には、28号FXを選任操縦する正太郎の息子・正人などが運用する小型の「金田マシン」も格納されている。
 これだけの資産運用が可能なのは、ひとえに陽子が名だたる資産家の娘にして科学者であることに起因する。正太郎は逆玉の輿だったのだ。
 が、小型といいながら、妙に大きな「金田マシン」が気になり、陽子の開発した28FXは非常に小型の鉄人なのかと思ってデータを点検してみたら、なんと20mもの全高、重量は24.8tであった。この数字から割り出すと、写真に写っている金田マシンは最低でも全長10m近くのサイズになる。
 ・・・ちょっと待て。
 全高20mの鉄人と、それより大きなブラックオックス、さらに17号を一つのトレーラーに納めているグラントレッカーは、いったいどういうディメンションになるのだ?
 写真を見る限りでは、トレーラーの屋根部分が、既に鉄人の全高に匹敵している。鉄人とのサイズ比較で推測すると、全幅は20m以上、全長はゆうに100mに達するはずだ。厚みに関しては平べったくなるが、30階建てくらいの超高層ビルが一棟、横たわっていることになる。
 これでは郊外なら無理矢理でも、市街地などに入っていくことは不可能だ。なるほど、エアロキャリアで空輸するしかない。しかしそのエアロキャリアと連結すると、全長はさらに150m級になっているようだ。
 双胴タイプのエアロキャリアは、12基もの推進ノズルを備える超高出力航空機ということになるが、この全長は単機でも100mはありそうだ。これは、アントノフAh−225という、旧ソ連のスペースシャトル空輸機の88.4mを凌駕し、世界最大級の輸送機となる。なんとも迷惑きわまりない運用システムを作ってしまったものである。
 
 ※ このテキストは、超電導ロボ鉄人28号FXの公式設定には準拠していませんが、鉄人の全高は20mとうたわれています。