《そんじゃ、お言葉に甘えて。オートスライダー!》

 I.N.E.T(International Network of Excel-science and Technology)の特別開発班チーフ、早川裕作は、お調子者の反面、天才的な頭脳を持つエンジニアだ。異次元侵略者ネジレジアと戦う電子戦隊メガレンジャーをバックアップするスペースメガプロジェクトのリーダーとして、メガボイジャーの設計開発を担当し、浮かせた経費でプロトタイプのメガスーツをメガシルバーとしてチューンナップするほか、専用ロボ・メガウインガーをも建造する辣腕である。
 メガシルバー専用装備の一つとして開発されたものに、オートスライダーがある。
 これは1日わずか5分のスライド運動で腹筋を鍛える器具で、腹筋と背筋、二の腕を同時に鍛えることができる、通販でも人気の健康増進ツール・・・ではなく(いやほんとに同じ名前のそういう商品があるのよ)、サイバースライダーと呼ばれるメガレンジャー専用移動用ジェットボードのパワーアップバージョンだ。
 サイバースライダーは、高速飛行能力やデジタル空間突入機能を有するサーフボード型のホバーボートだが、オートスライダーにはバイクモードへの変形機構が付加されている。550km/hで移動できるスライダー・ホバーを、わざわざ300km/hに速度低下させるバイクモードを取り入れた理由は不明だが、早川の性格から考えるなら、普段は諸星学園高校の学生であるメガレンジャーたちをうらやましがらせるためのアイテムとして、日常の足に使おうという魂胆があったのかもしれない。
 サイバースライダーはジェットボートとも反重力ボートとも言われている。その原理は不明だが、基本的な動力はオートスライダーも同様と思われる。特筆すべきはオートスライダーのバイクモードで、変形システムを見ると、車体中心部の動力ユニットが左右分割式でそれぞれ前後輪ホイールの動力伝達機構と共に展開・収納される構造となっている。
 テール部分にも加速ブースト用ノズルが存在するが、それを別にしても、前後ホイールの動力ユニットと思われるブロックが、シートの左右に在るのならば、“左右どちらも”動力源として機能するはずで、バイクモードは2×2の全輪駆動ということになる。