《アンチヒーローを導くもの》

 未確認生命体第41号、ゴ・バダー・バは、グロンギ集団が繰り広げる殺人ゲームの申告ルールとして、「鋼の馬から引きずり降ろし、轢き殺す」ことを宣言した。
 「ゴ」の集団は、自らの特性や趣向に合わせて、人間・リント社会の文明の産物を小道具としてゲームに赴く。バダーの場合、それはオートバイであった。
 弟であるズ・バズー・バを倒した未確認生命体第4号、クウガが、鋼の馬を駆ることへの対抗意識があったからかもしれない。その経緯は謎だが、彼にとってオートバイは肌になじむ小道具であった。
 バギブソン(人間の言葉に訳すと、カイクロンともサイクロンとも言われる)は、バダーが持つ霊石らしき物体を植え付けられることで、彼が常用しているオフロードバイクが鎧に固められ、変貌した姿だ。
 これは古代文明・リントの産み出したテクノロジーではないかと思われる。「アマダム」と呼ばれる霊石は、ヒトの体内に埋め込まれれば、プログラムされた属性に合わせて、ヒトと動植物や昆虫との融合を果たし、外見や身体能力を変化させる。
 有機物に対して有効なばかりでなく、クウガのしもべであるゴウラムのような、金属主体の異種生命体にも応用されており、またなんの変哲もない棒きれがロッドやソードに、拳銃がボウガンに変質することから、無機物にも影響を及ぼすのが、アマダムの力だ。
 この力によって変貌したバギブソンは、バダーのライディングテクニックと、時速400kmもの高速によって、クウガのトライチェイサーを退けるほどであった。クウガは、警視庁から新たに貸与されたビートチェイサーによって、バギブソンの速度を制し、ライジングマイテイキックを繰り出すチャンスをつくり、バダーをバギブソンからたたき落とした。