《蘇る金杯の覇者》 
 「かぐや!」
 「何かな、なつかねーちゃん」
 「修理明けのマシンだから様子見しながら走るのよ。ついでに周回多めに回って! そのあとあたしがタイムを詰めるわ」
 「オッケィ! その間によしのは身体をほぐしときな」
 「ごめんねねーちゃんたち、ボクがドジ踏んだばっかりに」
 「まあアシモバランサーなんてのは立ちごけ対策でしかないのよ。こちとら時速何百の世界で走るんだ。じゃあ行ってくる!」
 「ちぃねえ、気をつけてっ」
 
 「おい、よしの。左足はまだ痛むか」
 「当たり前でしょパパ・・・じゃない、監督っ。骨が折れてないだけマシだけど」
 「明美が泣いて喜ぶほどマシンの修理に時間がかかった。全部お前のダメージを和らげたと覚えとけよ」
 「喜んでねーですだ。最下位脱するのにまた無茶されたら心配でならねー」
 「大丈夫よアケミちゃん。あたしとかぐやでやれることは全部やる。ラストスティントは、よしののセンスとガッツ次第さ」
 「それにしても誰に似たんだろうね、この負けん気の強さは」
 「まちがいねー、そりゃばーちゃんだ」
 「ボルドールの覇者が何を弱気なことを言ってるんだ。昔我々は鈴鹿でリタイアした。そこから逆転できたのは沢渡、君とディブの走りだった。三姉妹は復活させたバトルホークでそれを再現しようとしているのさ」
 「参ったね、まさか表彰台にでも上がられたら鈴鹿じゃ一生ののしられるのか俺たち」
 「ま、あきらめの悪さは父親似だと僕は思うよ。この子たちは必ず完走する」
 「東条のおじさま、それは約束しますけど、びりでゴールなんてしませんからね」
 「今度こそ自分の当番しっかり走るよ」

 「沢渡監督、スズラジです! 解説で奥様が言いたい放題しゃべってますけど」
 「なにっ、あのばかこれが鈴鹿じゅうで聴けるの知らないのか? 余計なことしゃべ゛るなって言っといてくれ!」
 「えー実況席聞こえますかー。こちら『チームうめ・もも・さくら』ピットです。沢渡監督パットさんを怒ってます。それよりよしのちゃんは転倒ダメージ極めて小さいようです。元気な笑顔に惚れちゃいそうです」
 「なんだとこのやろー、娘はやらん。断じてやらんからなーっ」
※これはつくばーどオリジナルの二次創作です