《ゆくぞ勝利のゴールまで》
               
 このキャリアーは日本の三船レーシングチームのものではなく、アメリカの「RACER MOTORS」が開発したと思われるトランスポーターで、マッハ号ではなく「マッハ5」を運搬する専用車両だ。
 詳細なスペックは不明だが、架台に積載されているマッハ5との比較推定では、全長は約15mほどあるようだ。ビッグリグ・ランチャーと呼ばれているが、「大仕掛けの発射台」としても良いだろうし、「大いなる白い神の進水」とも解釈できる。白い神とは、北欧神話の光の神「リグ」を示す。
 何が大仕掛けかと言えば、マッハ5の積載ブロックが、車体後部を基点に360度回転し、キャビン部から離れて任意の角度へ転回・固定できる。積載架台はジャッキアップすることが可能で、トレーラーブロックの屋根が後方へ跳ね上がり、ジャッキアップされた架台へ自走で乗り込めるスロープに変貌するのだ。その装置による機能的な意味合いは、ほとんど解説のしようがないビジュアルインパクトだけのような気がする。
 何しろこれらのギミックによって、これだけ巨大なトランスポーターであるにもかかわらず、積載能力がたったの1台なのである。「RACER MOTORS」では、主力レーシングマシンとして、マシンスペックではマッハ5を凌ぐマッハ6を運用しているのだが、どこをどう見ても、このトランスポーターに2台のマシンを搭載することは不可能だ。
 すると、主宰者のポップス・レーサー曰く「マッ5は競技用ではなく、倅のプライベート・カーなんだが、最近各地のイベントにデモカーとして招待されるので、ちょっとばかり凝ってみた」
 ということだ。なお、エンジンはキャビン部にタービンブロックが二基掛けで確認されるほか、カーゴ部後部にもインテークと排気管らしきものがあることから、前後で駆動系を有しているようだ。キャノピールーフは開放的なキャビンを演出するが、2人乗りらしい。他に居住区はなく、モーターホームとしてまでは使われていないのかもしれない。