《白い弾丸》

 「白い弾丸」とも呼ばれ、水陸両用及び短時間飛行能力を有する、仮面ライダーXことカイゾーグ専用マシン。もともとはカイゾークが海底開発作業に従事するために開発された。
 このため、サイクロンやハリケーンのように、ライダーの変身機能と連携した変形・カムフラージュ能力は持たない。正式には『クルーザー』と呼称されている。
 動力は水流ジェットエンジンといわれるが、これとは別に“太陽エンジン”という呼称もあり、これらは別個に搭載されているものと思われる。
 ハリケーンを上回る、最高速度700km/hという性能もさることながら、フロントカウル左右に設置された2基のレシプロポッドによって飛行能力を発揮する。このポッドは、プロペラを逆回転させることで、小型の竜巻を発生させることも可能だ。プロペラに惑わされがちだが、単なるレシプロエンジンだけではなさそうである。テールエンドにはスクリューと方向舵が設けられ、水中航行もできる。このほか、スペクトラムビームという武器も装備されている。



 クルーザーの設計と開発は、カイゾーグの開発研究を進めていた神啓太郎教授だ。
 神教授は、Xライダー・神啓介の実父であり、機械工学と人間工学の融合をテーマに、深海開発用サイボーグ「カイゾーグ」を完成させた。
 カイゾーグは深海の高水圧に耐えられ、内蔵された呼吸システムによって長時間の水中活動を可能とするもので、素体への人工気管等の移植と、強化服及びエネルギーチャージャーとなるパーフェクターによって構成されている。
 対水圧ボディと相まって、減圧工程を不要とするカイゾーグは、陸上からそのまま海中へ潜航し、活動できることから、水陸両用の移動装備がふさわしいと考えた神教授は、水上バイクに駆動輪を附加するよりも、オートバイの基本性能に水中潜航能力を持たせることにこだわった。
 車体に対水圧性を持たせることは、材質レベルの問題として解決できていたが、実際の推進システムに関しては、特殊なエンジンの搭載には成功したものの、オートバイの駆動輪だけで推進軸を安定させることは不可能であった。
 この問題点をクリアしたのが、フロントカウルに装備された、一見レシプロポッドに見える推進装置である。おそらく、空中滑空時に使われるプロペラは、設計段階ではラムジェット方式で、しかも空気・水流の両方に応用できる構想を有していたのではないかと考えられる。
 神教授は世界征服を企むGOD機関によって殺害されたが、その全人格を海洋移動研究所・神ステーションのメインフレームに移植していた。この神ステーションでは、カイゾーグ用の特殊装備の様々な開発も進んでいたはずだが、神教授=メインフレームは、Xライダーを独り立ちさせるためにステーションを自爆させ、海中に没していった。
 神ステーションの残骸が捜索されたことはないが、せめて開発記録がサルベージ出来れば、レシプロポッドには換装能力があり、水流ジェットやマニピュレータなど、各種用途に応じた交換用ポッドの数々が発見されるかもしれない。