サイバーフォーミュラ選手権の黎明期には、砂漠や山岳地帯、表現をステージとした高速ラリーというレギュレーションが存在した。これはサーキットだけが自動車レースの舞台ではないというアピールや、俗にいうオフロード走行におけるサイバーシステムサポートの安全性を見出す可能性が期待されていたのである。
そのため、サイバーシステム搭載車のカテゴリーにも幅がもたらされ、ラリー専用車が台頭する時代が少なくとも15年は続いていく。しかし、大勢にあっては高速サーキットでのハイスピードレースに傾倒していくのが2015年以降のサイバーフォーミュラの情景となった。
そのなかで、アルバトランダー602は純然たるラリーカーをベースに開発された最後のマシンとなる。フロントノウイング状スポイラーこそフォーミュラマシンへの進化と葛藤を思わせるが、ビスカス式四輪駆動を採用したボディやV型8気筒エンジンは、あの葵自動車によるものだ。
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