だいたい解ったとしか言い様がないマシン
 ある日、世界の融合が始まり、崩壊の兆しが各地で起こった。
 融合する世界は9つ。それぞれの世界にカタストロフの温床とその象徴たる怪人・モンスターなど異形のモノが跳梁し、その脅威と戦う“仮面ライダー”が存在した。9つの世界の一つ、“キバ”の世界から現れた青年・紅渡は、門矢士と接触し、彼がディケイドであることを知らせる。門矢士は多くの記憶を失った謎の青年。どこから来て、何をしようとするのかを、本人さえ覚えていないが、次元転換解放機であるディケイドライバーと、ライドブッカーを手にしたとき、それらをどう使いこなすかは知っていた。
 ディケイドライバーで変身した士は、10番目か或いは0番目の世界の仮面ライダー。9つの並行世界を旅して融合と崩壊を防ぐ、しかし「全ての仮面ライダーを破壊する」存在だということを自覚し、異世界の旅を決意する。

 自分が何者であるかを「だいたい解った」としか語ることのできない士であるから、彼がいつから、どこで手に入れて乗り続けているのかも解らないのが、マシンディケイダーと呼ばれるオートバイである。ディヴァインオレと呼ばれる未知の鉱石から精製された材質で構成されているらしい。
 見たところ、HONDAのスポーツクルーザー「DN−01」の様だが、フロント、リアカウルは専用デザインとなっており、カラーリングもオリジナル。ディケイドのマークもサイドパネルに描かれている。実はこの特徴的なフロントカウルのプレートには、ディケイドのマスクと同様の“次元の通行手形”という機能が隠されている。
 水冷4ストローク、OHCのV型2気筒エンジンを搭載しているが、士がディケイドに変身したあとはディケイダーパワーとして、次元移送機の能力を覚醒する。エネルギーは“クラインの壺”に通じているディケイダータンクから無尽蔵に供給され、陸、海、空、宇宙をも走り抜けるスーパーマシンとなる。
 9つの並行世界を往き来する際、次元の障壁を突破するブレイクスルービームの発射機構が、ヘッドライト内に装備されている。センターにハイビーム、左右にロービームを持つヘッドライトは150m先まで照射可能なほか、対象物が放つ熱や赤外線を可視光線に偏光し、暗闇ばかりか次元の狭間に潜む物体をサーチすることができる。
 戦闘能力は、最高速度350km/hのスピードと、ディケイドの意志による遠隔操作、ミラーワールドも含めた次元転送能力のほかに、アタックライド能力があげられる。これは、ディケイドの変身能力に準じ、ボディを変異させて他の仮面ライダーが所有するマシンに変形させることができる。

 これはマシンディケイダーの僅かな情報を繋いだものだが、マシンの材質、エネルギー供給源と言われるクラインの壷、そしてこれらのシステムも併せて、誰がどのようにして開発したものなのかは、士の記憶が戻らない2009年春現在、全く不明のままだ。とりあえず、すごい性能であることは、だいたい解ったのだが・・・