《気分屋なビークルケミー》

 オートバイ、しかもホンダのアフリカツインに酷似しているが、これは錬金術によって生み出されたケミーと呼ばれる人工生命体だ。たまたまその意匠と特徴がオートバイを模したものだと言われている。
 人間界に解放された101体のケミーの一体で、爆走していたところを錬金連合の一員で、錬金アカデミーの教師であるミナトに再封印された。ガッチャードとして戦い始めた教え子の一ノ瀬宝太郎に引き合わせたのはミナト自身だ。
 彼の思惑だったかどうかはともかく、宝太郎とゴルドダッシュは意気投合してパートナー関係を結ぶ。


 全長2.023m、全幅0.880m、全高1.560m、乾燥重量248kgでありながら、202.3ps(148.8kw)もの出力を持つ『ゴルドハートエンジン』は最高時速265km/hをマークする。オフロード寄りのデュアルパーパスマシンとして見ればなかなかのものだが、このエンジンが曲者で、対峙する相手が自分より速いと見るや気迫が漲り勝手に出力を上げてしまう。反対にゴルドダッシュ自身のやる気がそがれると途端にパワーダウンする。
 しかしゴルドダッシュは人間を乗せて走ることに至高の喜びを得る性格で、ハンドル『ダッシュコミュニケーター』を握るライダーとは意思疎通をはかる。
 フロントカウル『ダッシュカウル』横に装備された『ゴルドレーター』は対象物を掴むことができ捕縛も可能だ。カウル全体は絶縁樹脂でフルコーティングされており、直撃の落雷にも動じない。
 一見増設リアカウルに思える『ゴルドブースター』は、仮面ライダーガッチャードからエネルギーを供給され、エンジンパワーの限界を超えた圧倒的な超加速を一時的に行える。
 あくまでもこのマシンは機械・ビークルベースの人工生命体だが、車体の各部に残るバイクとしての痕跡を見ていくと、アフリカツインの歴代モデルの中でも極めて最近の車体のようだ。101体のケミーがいつ頃から造られていたかは定かでないが、ゴルドダッシュは錬金技術が円熟した近代に産み出されたものなのかもしれない。