変形!グランゼルからグランカーへ
ひょっとすると世界初?
《31年目の復活》

 エネルギー極限発動装置の封印を解いたキョーダインは、彼等自身の命と引き替えに、ダダ星の侵略者ガブリンを壊滅させた。スカイゼル、グランゼルとも、強大なエネルギー解放と爆発の中に巻き込まれ、二度と戻ってくることはなかったのだ。
 サイバロイド・キョーダインに、自らの人格をコピーして、キョーダインの活動制御を果たしていた葉山譲治・竜治兄弟は、捕らえられていたダダ星からの脱出に成功し、地球帰還を果たすことが出来たが、分身とも言うべきキョーダインの自爆を食い止めることは叶わず、自責の念を抱いていた。
 「兄貴、俺は奴らをいつか復活させてやりたい。だが俺にはダダ星の科学技術を使いこなすことが出来ない。それが口惜しい」
 「それは俺も同じだ。しかもダダ星が滅びた今、サイバロイドを造り出すための技術も失われた。父さんの知識を持ってしても、今の地球の技術では、あれほどのサイバロイドは造り出せない」
 葉山兄弟は、父・葉山博士の解説するサイバロイド概念と設計を聴き取り、情報を再構築しながら、世界中の技術者を訪問していった。25年の歳月が流れ、彼等は遂に、瀬戸内の海を眺める、とある街で1人の技術者と巡り会った。

 その技術者・早瀬五郎は、葉山兄弟の依頼を受けてから、約5年をかけてサイバロイド工学をマスターし、現代の技術で比較的実用化可能なものの組み合わせをできそうな、グランゼルの制作に取りかかった。超小型ロケットエンジンを使用するスカイゼルとは異なり、グランゼルはガソリンとダダニウムの混合燃料で、通常の内燃機関を利用する設計概念だったためである。
 早瀬は地元の自動車メーカーが持つロータリーエンジンを使いたかったが、微振動の問題で断念し、同じメーカーのV型6気筒ユニットを採用した。内燃機関で発生させた熱エネルギーは、削岩機に用いられているフレキシブル動力伝達チューブを介して、車体駆動系と変形後の腕・脚部を稼働させる。一部には小型モーターも採用されている。
 本来のグランゼルとは、各部パーツの構成と大きさのずれがあり、オリジナルと全く同じ変形は不可能であった。これがダダ星の科学技術との差であり、ダダ星の材質は膨張・収縮能力も有していたのである。
 この問題に関しては、早瀬はフレーム上での車体各部の構成を位置決めした上で、そのフレームを無理なく可動させ、追加パーツのカウリングもあわせてグランカーとの共用を図った。
 サイバロイドというよりは、ほぼマシンとしての再生となったが、電脳プログラムにかなりの手間暇をかけ、動作パターンや対話時のリアクションについては、葉山竜治の意志を宿していたグランゼルに匹敵するユーモアさを再現できた。早瀬が重視したのは、戦闘マシンとしてのグランゼルではなく、あくまで平和の使者グランゼルというコンセプトであった。
 このため、当然の事ながらこのグランゼルには、変形機構とそれぞれのモードでの活動期本能力しか与えられていない。ただひとつ、このあとに再生するスカイゼルとのコンビネーションを図るため、スカイゼル発射カタパルトには工夫を凝らした。カタパルト架台は取り外して展開すると、巨大な剣となる。グランゼルがこれを振るえば、防御用の道具としては充分に使用でき、またステータス性も演出できた。早瀬はこの剣に「G.O.D」(Government of Dragon)と名付けた。竜の統治、という直訳ではなく、「竜治」からの言葉遊びである。
 2008年秋、31年の時を越えて、グランゼルは復活した。
 「雑兵とマジョリティ」にて、早瀬五郎さんが制作記をまとめているフルスクラッチ・グランゼルを紹介する機会をいただいた。もちろんここでは作例ではなく、グランゼル復活の架空エピソードを添えているだけである。
 早瀬さんにとっては、これが初めてのフルスクラッチ造形でありながら、グランカーへの変形を前提に制作したところが驚き。知りうる限りでは、グランゼルの変形ものは、これが世界初と思われる。
 早瀬さんはこれに続いて、スカイゼルのフルスクラッチを開発中。もちろんジェット形態、ミサイル形態への変形にもトライする。
 つくばーど解釈では、スカイゼル、グランゼルが葉山譲治・竜治兄弟の分身でもあるという設定に基づき、末っ子の健治にも登場してもらう案として、ぜひともオリジナルキョーダイン「マリンゼル」の開発を依頼したい。