《糧を求めて砂漠に迷い》

 イノセントがシビリアンに与える文明機器の中で、最大級の装備がランドシップと呼ばれる地上航行船である。船だったら本項で取り上げるのはルール違反だが、ひょっとしたら補助推進機構としてキャタピラくらいついているかもしれないと・・・思ったら、付いていなかった。とりあえず、惑星ゾラの三日間逃げ切りの掟を念頭に、掟破りの精神で例外として取り扱うこととする。
 アイアンギアーは、その登場以前のランドシップと大きく異なる点として、ウォーカーマシンに変形する。ランドシップ状態での全長は170m弱。変形によるウォーカーマシンのサイズは、惑星ゾラ最大級の全高約126mにも達する。このシステムは、シビリアンが精神的な成熟を踏まえるに従い、段階的に複雑な機器を与えていくイノセント側の思惑によるものだが、変形のために必要なデッドスペースが多く、ゾラにおいてランドシップを最も多用する交易商人の立場からみると、積載能力が劣るばかりか、燃費も悪く故障も多発する。
 アイアンギアーは、アイアンギアー級ランドシップの1番艦として、交易商人キャリング・カーゴがイノセントから買い付け、彼の死後は娘のエルチ・カーゴに譲渡された。後に2番艦グレタ・ガリーと交戦して可動不能に陥り、エルチの命によって爆破された。グレタ・ガリーはエルチ、ジロン・アモスらによって奪取され、2代目アイアンギアーへと改修される。