《切り札 逆転のジョーカー》

警視庁が昭和40年代に配備していた科学捜査班の捜査員・Kの専用パトロールカーですが、Kの素性と同様、警視庁謹製ではなく、Kとともに貸与されたものと思われます。
 この当時、警視庁はロボット犯罪に対処するため、試験的に警視庁特別科学捜査室を設置し、ロボット刑事Kを配属していました。殺人ロボットのレンタル契約を結び利益を得ようとする犯罪組織「R.R.K.K.バドー」の暗躍が顕著化していたためです。
 バドーの出現と同時に、何者かから警視庁に貸与されたKは、その姿こそ前時代的な雰囲気を残したヒューマノイド型ロボットでしたが、詩を書き、花を愛で、感情の起伏を持つ超高性能人造捜査員でもあったのです。犯罪発生現場におけるある程度の科学捜査は、K本体に内蔵された分析機器でも充分にまかなえましたが、その精密さにも落とし穴があり、「分析された状況証拠」「物証」といった『点』を『線』につないでいこうとするとき、プログラムパターンの蓄積で「推理と判断」を行うKの「常識」は、ごく希に「人間の思いも寄らないメンタリティ」によって攪乱されてしまうのです。




 ジョーカーは、おそらくKの演算処理を受け、より正確な解析を進められるデータバンクとしての能力も有していたと思われます。そのデータバンクは、Kやジョーカーの開発者による提供機材ですから、警視庁のデータバンクとは直接リンクはしていなかったでしょう。当時の警視庁に、リンクできるだけの性能を持つメインフレームが存在していたかどうかも、Kやジョーカーの性能と比較すると、怪しいものですが・・・
 特殊車両としてのジョーカーは、最高速度時速500km、垂直離着陸能力や水中航行能力を発揮し、水深300メートルまで潜行が可能。
飛行速度時速800kmの「空飛ぶパトカーの先駆け」であると同時に、各種科学捜査機器の搭載はもとより、センサーによる自走及び衝突防止システムなど、現代のITSにも引けを取らない装備が満載されていました。
 覆面パトカーとしての側面もあるのですが、あまりに堂々とした姿形で、覆面にすべき意味合いは薄いかもしれません。