《マグナビートル》 西暦2050年。ネオ・トキオの機動メカ分署マグナポリス38には、「ウラシマン」と呼ばれ、超能力者ではないかと噂される機動刑事が存在した。 彼の名は浦島リュウ。実は1983年の世界からタイムスリップしてきた若者だ。 過去・現在・未来へと続く物理法則に逆らって、過去から未来へ転移する事をウラシマ・エフェクトといい、その時の影響によって超能力を身につけた者を、人は「ウラシマン」と呼んだらしい。その時間転移理論と「ウラシマン」の超能力因果関係に、どれほどの真実性があるのかは定かではない。浦島リュウという名前さえも、彼がこの時代で生きていくための方便なのだ。 |
||||
|
||||
フォルクスワーゲン・ビートルは、フェルディナント・ポルシェが、当時ドイツを支配していたアドルフ・ヒトラーの援助を得て作り出した理想の大衆車だった。フォルクスワーゲン・タイプ1とコードされ、ドイツが誇るグローバルスタンダードモデルが誕生するが、第二次世界大戦を挟み、ドイツ国民の理想の足として親しまれるのには、しばらくの年月を経た。ビートルという愛称はアメリカで与えられた、タイプ1の独特のスタイルへの人気の現れであったが、開発中、ポルシェ博士も「コフキコガネムシ」と呼んでいた。 1940年代に生まれたこのクルマも、浦島リュウがタイムスリップし、飛び越えてしまった1990年代には、最後の生産・販売を行っていたメキシコでも現地生産が終わっている。 1994年のデトロイト・モーターショーで、コンセプト1と名づけられたデザインスタディが公表され、大きな反響を呼び、予定されていなかった市販化が決定した。それが98年に登場したニュービートルだ。 先代は半世紀以上、世界各国で愛された。このことを考えれば、2050年のネオトキオでは、ニュービートルそのものもモデル末期を迎えているのかもしれない。だから、タイムスリップしたリュウは、いきなり遭遇する“まったく新しい見たこともない2代目”を、ポンコツのロートルカーとして目の当たりにしたことだろう。そこには、自分が乗っているビートルとの、世代を越えた愛着の共有が生まれていたかもしれない。 ここに引き合いとして紹介するのは、ニュービートルをベースとした4WD仕様の「デューン」。 |
|