《蘇る超人機計画》

 太平洋戦争末期、日本軍は戦局打破の切り札として「超人機開発計画」を秘密裏に進めていた。ロボット工学の権威・古賀竜一郎博士が陣頭指揮を執っていた、地球の反重力エネルギー「KOGA−X」の影響で稼働するロボットである。
 人間の身体能力を凌駕するパワーと、高度な処理速度を持つ人工頭脳で、一騎当千の機動兵士をもたらそうとしたのが、大本営の意図であった。しかし古賀博士は博愛精神から、超人機を殺戮兵器とすることを好まず、自省回路を密かに内蔵し、知識・感情・理性などのバランスを取ろうとした。
 自省回路は、エネルギーの制御も司る中枢部分であり、回路を内蔵してある左半身は厚い装甲板で覆われている。戦術コンピュータが内蔵された攻撃専用右半身は、内部構造を露出させたプロトタイプ・メタルダーは、剣流星という名の青年に擬装される。戦時中亡くなった古賀博士の一人息子の姿がモデルにされた。しかし日本は敗戦をたどり、超人機開発計画はアメリカの進駐軍に渡ることなく、密かに封印された。


 メタルダーに携行武器を用意しなかった古賀博士は、代わりに空陸両用の側車型支援機器を開発していた。全長2450mm、全幅1497mm、全高882mm、重量240kgの特殊サイドカーだ。地上における最高速度は時速900km、空中最高速度マッハ3を誇る。ボート部分の切り離が可能で、ボートのみを遠隔操作し、要救助者の救出を行うことができる。ボート内には、プロテクターや武器等、メタルダーのパワーアップパーツを搭載しているとも言われている。
 古賀博士は、富士山麓の風穴の一つに建造されていた大本営の特殊シェルターを利用し、シルバーカークスをも整備した。シルバーカークスは、この特殊サイドカー・サイドファントム、空陸両用車輌メタルチャージャーの格納や、メタルダーのメンテナンスなども行う基地となった。

 終戦から42年後、世界的な犯罪組織ネロス帝国が暗躍を始め、社会秩序の崩壊を予見した古賀博士は、渡米先のNASAから単身帰国し、隠蔽されていた超人機を起動させる。失われていた超人機開発計画は、こうして世に姿を現したのである。