《機動強化服の意欲作》

 いかなる兵器の迎撃も受け付けず、地球侵攻を繰り返す謎の兵器「バグシーン」の襲来を受けていた人類は、最新工学「アムテクノロジー」によって生み出された「アムドライバー」によって反撃に転じた。「アムドライバー」は、装着型人工強化筋肉「アムジャケット」を着た戦士の総称だ。
彼等はアムジャケットに武装できるアム・マテリアル製超硬度装甲「アムドライバーギア」や、戦況に応じて対応して移動に特化したビークル・モードと、完全変形してアムジャケットに装着し、バトルに特化したブリガンディ・モードの2つのモードを使い分ける「バイザー」を駆使して、戦局を覆そうとする。


 モトバイザー・グリフォン(AGB−MT125)は、機動性を重視した、大型バイクタイプのバイザーシステムだ。操作性は非常に高く、バグシーンのビーム到達速度をも超えながら、接近・攻撃・離脱の戦方を得意とする。
 アムジャケットへの変形装着となるブリガンディ・モードは、多数の火器類を装備し、即応性に優れた射撃が行えるほか、バグシーンのビームに対する防御能力も向上するが、射撃体勢をとるのに有利な反面、ビークル・モード時の機動性はスポイルされる。
 ただし、多くのモトバイザー装着例によれば、機体各部のハードポイントと、増加装甲や武装固定の信頼性が低く、最悪のトラブルでは装甲はおろか駆動輪が脱落したり、ブリガンティ・モードからビークル・モードへの再構築が不安定になるという事態も確認されている。
 妙案とも言うべき機動・変形・防御を兼ねるモトバイザーだが、現状ではビークル、ブリガンティいずれかに特化させた戦術を検討すべきと、前線からの報告が出ているが、上層部からの指示は特にないらしい。仮にビークル・モードに特化した場合、駆動伝達系統とスイングアームを兼ねる脚部パーツの存在が、いささか邪魔ではないかと言われている。前後輪の左右分割式ホイールを廃止し、スイングアームを単一化させ、そこに駆動伝達系システムを組み合わせたリアホイールとサスペンションシステムは、防御能力が劣るものの、それでも機動力の向上でカバーができるのではないかと、ドライバーたちはつぶやいているようだ。
 しかし、ハードポイントの緩みという設計ミスに関しては、コストをかけずに改修が可能とされ、オプション兵装の豊富さからも、廃止されることはないだろう。