《必殺の爆輪駆動》
 
 ネオサイクロン・・・といっても、バックスピンボールを上げにジャンプ・前転して踵で逆ドライブ回転をかけて螺旋状の軌道を生み出すという大空翼くんの必殺シュートのことではありません。スーパードラッグスターのコンセプトを取り入れた新世代のサイクロンです(といっても1992年だ)。
 フロントカウルはニューサイクロンをある程度のベースとしながら、サイドカウルと一体型の旧モデル風にリファイン、サイクロンカッター(補助翼)は廃止され、旧モデルで採用していたロケットブースターのズルを兼ねる6本のエキゾーストパイプが復活しています。ニューサイクロンをベースとするものも存在するので、このマシンは初代サイクロンのアドバンスト・マシンということになるのでしょう。



 ネオサイクロンのスペックは不明です。立花レーシングチームのスポンサー(つくばーど解釈)であるB社からの情報によれば、その名も“爆輪駆動”。いったいどういうエンジンと駆動方式を導入しているのか、興味は尽きません。
 この意図的に長く伸ばされたホイルベースは、加速時の直進安定性を考慮したものと思われ、空力効果を上げるためにフロントホイールにもフェンダー一体化のカバーを取り付けています。ひょっとすると、フロントホイール内に補助モーターが内蔵されているか、“2輪駆動”を採用しているのかもしれません。
 これまで軽量化の道を進んでいったサイクロンでしたが、ここへきてあえて重量増加とみられるフォルムが登場しているのは、おそらく超高出力のエンジン開発に成功したためではないかと想像されます。

 ドラッグスターといえば、警視庁未確認生命体対策班の機動刑事、G3が運用している白バイ、ガードチェイサーも、ホンダX−4というドラッグスターをベースに開発されているようです。このネオサイクロンの基本フォルムと、ガードチェイサーのボディが酷似しているかどうかは、目にした人の主観で様々な意見に分かれることでしょうが、92年当時に、立花レーシングチームでこれだけのマシンが開発されていたことから、そのコンセプトが活かされたという推測も、成り立つかもしれません。





※爆輪駆動はリアホイールにバラストと慣性回転を兼ねるジャイロを組みこみ、ブースターとなる平型ロッド(独楽回しの紐と同じ原理)を使って射出する方式ですが、そのことは本稿では無視しています。