《マスターの遺志を継承せよ》
 ネオテーラを組織していたのは、第1期レスキューフォースのリーダーとしてR1を努めていた大淵であった。彼は平和利用の新エネルギー開発現場で生じた災害救助にあたり、未曾有の被害を目の当たりにしつつ、自らも重傷を負った。
 この災害要因は平和利用という言葉を隠れ蓑にしていた新兵器開発の失敗であり、人災でもあった。大淵は、利権に群がる人間の醜さに嫌気がさし、災害救助の任を放棄し、彼自身が保有する科学技術を人類抹殺のために利用し始めた。クライシスメーカーや幹部アンドロイド達が、その成果だ。
 大淵は自らをダーエンと名乗り、超災害による地上の砂漠化をもくろんだが、彼の後輩であるR5・石黒が指揮する第2期レスキューフォースの前に次々と野望を打ち砕かれた。最終兵器として用意したテラリセッター群を起動させるも、レスキューフォースの固い意志の前に屈し、彼自身の良心によって最後の企ても不発に終わる。大淵は大量のテラリセッターを起動させたネオテーラ基地を大気圏外に誘導し、自爆することで地上を救ったのである。
 しかし、彼が生前に組み上げたネオテーラのシステムは複雑にネットワークを構築しており、それらはマスターダーエン亡き後にシステム起動するようになっていた。第1段階が、大淵・マスターダーエンの知識と理論・技術の全てをコピーしたAIダーエンである。AIダーエンは、大淵が愛用していたR32型フェアレディZに組み込まれ、起動の時を待っていたのだ。その武器は、レスキューストライカーと同等の性能を有するダークストライカー。心や人格を持たないAIならではのロジックと演算によって、成すべき任務を冷徹にこなしていく。だが、大淵の良心は石黒達にダークストライカーを越えるレスキューMAXを与えていた。そして論理を越えたレスキュー魂の前に、非情のAIも破れ去るのであった。