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人に仇なす、あやかしの存在、魔化魍。その魔手から、人の社会を護る影の組織が存在する。その名は「猛士」。吉野地方に本部を持ち、全国に魔化魍退治の支部組織を展開する。
猛士の行動部隊は、頭領(王)の旗下に情報収集・解析(金)、技術者・医師(銀)、魔化魍退治を担う音撃戦士・鬼(角)、「角」の現場補佐(飛車)が集い、地域社会の協力者(歩)の支援を得ながら、跳梁跋扈する魔化魍を追跡、撃退している。
彼等は、魔化魍が育成されやすい気温・湿度など特定の環境を保有する土地に赴き、ディスクアニマルと呼ばれるハイテクと陰陽道を融合させた式神を操り、魔化魍探査を行い、これを発見すれば、速やかに音撃戦士が鬼の姿となって戦うというシフトをとっている。
猛士関東支部の事例を挙げると、活動拠点は東京・柴又の甘味処「たちばな」に置かれており、関東一円の魔化魍退治を担当する。音撃戦士は、古来、山深い土地で特殊な修行の末に自己の肉体を強化・変化させる術を手にした者達で、体術と音撃武器によって魔化魍に立ち向かう。
関東支部の音撃戦士・響鬼は、飛車格の立花香須実とコンビネーションをとり、香須実をドライバーとして各地への移動を果たす。移動と現地ベースキャンプ装備、ディスクアニマル格納コンテナを搬送するのが、「不知火」と呼ばれる4WDである。
不知火は、2400ccのガソリンエンジンを搭載、センターピラーレス構造による両側観音開きのサイドアクセスドアを持ち、防水性に優れた室内仕上げのSUV、ホンダエレメントがベースとなっている。
「エレメント(ELEMENT)」とは地・水・風・火の、世界を構成する根源要素を示す。そのコンセプトが、猛士関東支部の面々に気に入られたものと思われる。
エレメントの外観は、ライフセーバーがビーチで活用する「ライフガードステーション」(監視小屋)をモチーフとしたものだ。ボデイ下部には、樹脂製クラディング(無塗装)
を採用するのだが、不知火はサテンシルバーメタリックとサンセットオレンジパールというツートンカラーに塗り分けられており、本来の無塗装部分にも、わざわざ塗装膜を施している。その色分けは、見ようによっては巫女の衣装の配色にも見える。
情報としては確認されていないが、悪路や森林を走行する際の傷避けか、或いは魔化魍の邪気から車体並びに搭乗者を保護する結界の役割を果たすのかもしれない。この点を除けば、今のところ不知火自体には、飛び道具や特殊走行性能などの独自装備はみあたらない。
局地における魔化魍追跡には、このカテゴリーのSUVは運用が不向きとも考えられるが、10フィートのロングサーフボードも積載できるというペイロードは、彼等の装備搬送には充分に応えている。
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