《新生サイクロンの詳細不明》

 本郷猛の遺志を継ぎ、政府組織と手を結んだ対ショッカー戦闘要員「仮面ライダー」を裏の生業にするジャーナリストの一文字隼人は、損傷した強化服と爆破焼失したサイクロンについて、新しい装備提供を申し出た。
 バッタオーグ用にショッカーが開発した旧タイプのサイクロンに代わるマシンは、日本政府の下部組織がいずこかのマシンビルダーに発注したものだが、裏社会におけるショッカーと政府との立ち位置は紙一重の存在とも推察され、オーグメントの身体能力に適応するマシンを容易く開発生産できるビルダーとは、傍から見れば疑ってかかるべき下請けだ。
 しかし一文字にとってそのことは大した問題ではない。彼自身もショッカーによって生み出されたオーグメントであり、組織を裏切って政府側に肩入れしているのだから。


 新型サイクロンの意匠は、ショッカーによる旧タイプを意識してか大きく変わっており、昆虫のような顔立ちから猛禽類に似たフロントカウルへの変化が特徴。その両サイドに突き出た整流板はジャンプ時の安定を確保し、滑空用の揚力を発生させるようだ。
 そのことは、旧タイプ同様排気ノズルを模したロケットブースターの装備も想像でき、フル加速や高空への跳躍能力も有しているかもしれない。
 ご丁寧にも車体にはバッタオーグのパーソナルマークがそのままマーキングされている。仮面ライダーとはアンチショッカー同盟関係にある政府組織側が、わざわざショッカーのマーキングを施し一文字に提供するのは謎だが、もしかするとこのサイクロンもまたショッカーによって下請けに発注がなされていたもので、蝶オーグが牛耳っていた「緑川派閥」が半ば崩壊したことで、どさくさに紛れて政府組織に鹵獲された車体なのではないだろうか。
 その出自やスペックについては、すべてが不明である。