《Before ten years the begin'snight》
 1999年。風都で私立探偵を営む鳴海荘吉は、蜘蛛男と名乗る怪人の魔手から依頼者の安全を守る傍ら、その怪人を操る謎の組織との接触を余儀なくされていた。
 風都の富豪、園崎家に嫁いでいたはずの幼馴染、文音が荘吉を頼って逃亡してきたことが、すべての始まりであった。文音は自らが持つ技術力によって、匿われた事務所奥のガレージで、特殊車両スカルギャリーと、スーパーバイク・スカルボイルダーを開発・メンテナンスして日々を過ごしていた。
 彼女は、人間を怪人に変貌させるガイアメモリについてもいくつかのサンプルを所有しており、怪人・ドーパントと互角に戦う力を与えるため、荘吉にも身体能力を極限まで強化する「スカルメモリ」を提供するが、荘吉はこれを受け取ることなく仕事に赴く。
 しかし謎の組織の追っ手や蜘蛛男・スパイダードーパントや蝙蝠女・バットドーパントの猛襲を受け、窮地を切り抜けるためにはスカルメモリの発動に身を委ねざるを得なかった。
 荘吉の信条とは裏腹に、髑髏の男が誕生した。愛する者、信頼する者たちを傷つけ、越えてはならない一線を越えた敵を追い詰め、その罪を跪かせるため、戦う姿となった荘吉は、彼のために用意されたスカルボイルダーを駆り、自らも背負うこととなった運命と罪に立ち向かう。
 これは、荘吉が後に出会うこととなる文音の実子や、弟子として面倒を見るようになる若者が、彼と同じ運命の始まりに巻き込まれるはるか以前の物語だ。スカルボイルダーにはまだ汎用モジュールの換装能力は無く、大型装甲車スカルギャリーと連携して使用する程度の段階にある。文音はこのマシンを元に、より多用途な戦術を展開できる特殊モジュール換装型の2号マシンと、その搬送システムを兼ねた新型ギャリーへの改造を進めていく。