《open the next》

 2002年のパリ国際モーターショーで発表され、翌年に日本へ上陸したマイクロスポーツ。スマートのブランドといえども、クーペの派生ではなく、専用プラットフォームによって構成される。ロードスタークーペというネーミングは、3ドアハッチバックでありながら、2分割のディチャッタブルハードトップルーフを着脱することによって、タルガ風オープンへとスタイルを変えることがができるためだ。
 ボディ、シャーシには、従来のスマートで培われたトリディオンセーフティセルと樹脂製ボディパネルを採用、ボディ剛性と安全性を確保し、車重830〜850kgという軽量化を果たした。
 トリディオン・セーフティシェルとは、高張力鋼板を多用した頑丈な鋼鉄製の骨格に、柔軟で衝撃に対しての抵抗力が高いボディパネルを組み合わせた、サンドウィッチ構造のフロアからなる安全ボディのことである。


 リアエンジン、リアドライブのレイアウト。これも前面衝突時の安全確保に備えたもので、エンジンはシート直後にある2重フロアの間に埋め込むようにして搭載される。
 従来のスマートと同じ698ccの直列3気筒SOHCインタークーラーターボを、メルセデス・ベンツが専用チューニングを施し、82psを得ている。シーケンシャルセミAT方式の6速ミッションを搭載し、ステアリングにシフトチェンジ用のパドルが備わる。シフトレバーを前後に倒してのMTコントロールも、ステアリングのパドルを引いてのセミATコントロールも自在だ。


 スマートは、ダイムラー・ベンツ社(ダイムラー・クライスラーの前身)と時計メーカー・スウォッチ社のコラボレーションブランド。世界的な都市問題である渋滞解消への低減として、乗車定員を2名に割り切り、ボディサイズを大型セダンの約半分にするという発想が、ブランドコンセプトである。
 ライトウエイトスポーツであり、マイクロコミュータとしてのスマートブランドのポリシーをベースにしつつ、ライトウエイトスポーツの領域を垣間見せる、ロードスタークーペ(ノッチバック、電動ソフトトップのロードスターも存在する)は、スマートの言葉を借りれば、「自由であることに妥協しない大人たちへ」というメッセージを抱く。