《TDF PO−1 ポインター》

 地球防衛軍極東基地に数台配備されている水陸両用特殊車両。「ポインター」という名前はあまりにも有名だが、意外にもこの車両のエンジン形式はロータリーであった。
 ロータリーエンジンの開発は、ポルシェとマツダ、2輪ではスズキに実例があるが、4輪自動車において市販レベルのエンジンサプライヤーはマツダだけである。なるほど、幾多の時代考証としての矛盾を伏せてしまえば、地球防衛組織の中には、コスモスポーツやサバンナを採用している特捜チームがある。ポインターに搭載されたエンジンが同じマツダのものかどうかは不明であるが、興味深い1台といえる。
 ロータリーエンジン搭載。といっても、ポインターにはこれを含めて合計3基のエンジンが組みこまれている。
 残りの2基は、前部と後部でそれぞれ独立したジェットエンジンだ。ポインターの水陸両用性とは、水中走行ではなく、水上ホバー走行能力であり、この浮上装備として、前部ジェットエンジンが活用される。後部ジェットエンジンは推進用といわれており、ジェットエンジンでありながら、双方とも通常は補機の領域に置かれているのである。
 通常走行時には、ロータリーエンジンが動力を供給しているポインターだが、その全容は秘匿されており、エンジンフードの開いている際に中を覗き込むと、どこからみてもロータリー構造には見えないような擬装が施されているのだ。その理由は不明である。
 ウルトラ警備隊は、様々な文献の中で、1986〜7年頃に設立されたとされている。初代隊長のキリヤマカオル氏の隊歴から推測すると、モロボシダンが地球に現れ、ウルトラ警備隊に入隊したのは2003年頃にあたる(このあたりの夢の設定は、平成版ウルトラセブンによってうち砕かれる。別項のアドバンスト・ポインターとは切り離してお読みいただきたい)
 ポインターは後に、短期間でおそろしく沢山のモデルチェンジを繰り返すこととなるが、黎明期のウルトラ警備隊にあっては、実に長い期間、このモデルが運用されたことになる。