《四菱重工業98式レイバー指揮車》

 1998年から2002年まで、首都東京における汎用土木作業機械・レイバーに絡んだ犯罪を専門に、それらの事件を力任せに解決し、広く都民に恐れられたという、警視庁の鬼瓦とも盲腸とも呼ばれた警備部特殊車輌2課パトレイバー中隊「第2小隊」が運用していた98式パトレイバー・イングラム。レイバー側パイロットをフォワードと称し、移動指揮車側スタッフはバックアップと呼称し、それぞれ1機のイングラムに1台の指揮車がペアとなって行動しました。
 指揮車にはイングラムの活動指揮・バックアップ用電子機器や投光器、外部拡声器、ウインチのほか、警視庁との情報通信設備が搭載され、現場とレイバー中隊本部などとの中継にもあたります。小型バギータイプの運転座席は狭隘で、助手席も補助椅子程度の簡易装備で、基本乗車定員は1名。センターコンソールにはトランスファーレバーが見あたらないため、フルタイム四輪駆動と思われます。
 1999年8月のコンピュータウイルス犯罪“バベル事件”においては、防水加工とフロートを後付けし、木更津沖の東京湾上に浮かぶ巨大レイバーハンガー「方舟」まで突入するため、東京・江東区のレイバー中隊本部から出動する際に臨時の水陸両用機能を発揮しています。
 なお、イングラムをはじめとするレイバーも、腰部前後等にナンバープレートを持つ特殊車両です。また、イングラムは篠原重工業製、98式指揮車は四菱重工業製と、製造メーカーが異なっています。