《CYCLONE founder & improved model by S.I.C.》

旧タイプのサイクロンはプロップによってAカウルCボディなどさまざまなマシンが使われていたようですが、
ここではフルカウルの「初代」ビキニカウルの「改良型」(改造サイクロンと呼ぶのが正しいらしい)と統一します。


なお、物語のベースは原作コミックスではなく、テレビ放送に準拠しています。

蛇足ですが、作例と解説はつくばーどオリジナル解釈です。



《改良型サイクロン》

秘密結社ショッカーは、優れた頭脳と肉体を保つ青年科学者であり、オートレーサーでもある本郷猛を改造する際、そのエネルギー供給システムとなる風車ダイナモ(腰部ベルト)と対をなすシステムとして、オートバイを専用設計していました。
 これは、猛のライディングテクニックを見越してのことでしたが、オートバイごと脱走されたことが後の仇となっていきます。
 このときのオートバイは、改造体のエネルギーチャージを容易にするという設計思想から、レーサーをベースとした超高速走行に適したマシンとして開発されています。
 仮面ライダーを名乗るようになった猛も、この初代サイクロンの特性と自身のテクニックを駆使し、数々の敵改造人間の追撃、対決に戦果をあげていきました。

 この脱走者であり反逆分子である仮面ライダーの出現に、度重なる作戦失敗を喫したショッカーは「目には目を」と、本郷猛と同規格の改造人間を製造し、これをぶつける策略を謀り、フリーカメラマンにして格闘技の達人である一文字隼人を拉致、改造します。

 一文字隼人は『黒い雨を追って』という、公害訴訟と被害者を題材としたフォト・ルポルタージュの取材の最中、化学汚染物質を不法投棄している企業の影にうごめくショッカーの存在を偶然にもとらえてしまい、逆にショッカーの手に落ちていたのです。
 しかしこの計画を察知した猛は単身ショッカーアジトに乗り込み、脳改造直前の隼人を救出し、またもショッカーは煮湯を飲まされる結果を残します。

 「いつも二人だ、二人でショッカーと戦おう」

 同じ境遇の猛と隼人は、仮面ライダーとして人類の平和のために共に戦うことを誓い、猛はショッカーのヨーロッパ戦線を壊滅させるべく日本を離れていきます。
 「仮面ライダー2号」として極東ショッカーと戦う一文字隼人は、モトクロスレースの経験者ではあるものの、ロードレーサーとして仕上げられた初代サイクロンを乗りこなすことに苦戦したと思われます。隼人は、猛と、彼らの後見人である立花藤兵衛に助言を乞い、サイクロンの大幅なモデファイを敢行することになります。
 これが改良型サイクロン。基本性能は極力維持しつつ、機動性を重視してフルカウルをビキニカウルに換装、ジャンプやダイブでの着地衝撃でカウル破損のリスクを削るほか、激しいバトルによる排熱効率の向上を図りました。
 ビキニカウルボディは、サイクロンのメンテナンス時間短縮をも実現しています。一説によると、フルカウルからカウルレスのスタイルへは、常用型から戦闘型サイクロンへの変形過程の中間ポジションをモードセレクトできるようにしたもので、カウルの簡素化ではなく、サイクロン自体も車高調整を自動的に行って、別個のマシンのように変貌するともいわれています。
 これらのプランは、隼人が筋力強化型の改造を受けてパワー主体のライダーとなっていたことを見抜いた猛の発想で、2号ライダーは風車ダイナモの発電効率も上がっていたことから、変身に必要なエネルギーを獲得するためには、自らの筋力によるジャンプで賄えると判断したことに由来します。

 初代の超高速性能をスポイルしても、モトクロステクニックによる戦闘能力が活かせるという、2号ライダーならではのモデファイでした。また、この改良型は後期においてタンデムシートへの改造も施され、救出した人間を後部に乗せやすくするという、隼人の提案を受け入れています。