《2ストだったり4ストだったり》

 山梨県身延町界隈に住む高校生、志摩リンは週末にソロキャンプをたしなむ女の子。小型自動二輪の免許も持っている説があるものの、キャンプには50ccのスクーターで出かけて行く。

 このスクーター、ヤマハビーノは、初代が1997年にデビューした息の長いモデル。彼女の所有車の年式は不明だが、アニメーション版では2ストロークエンジンの音がするため、2004年3月以前のものと思われるが、それだと車体が少し異なる。そのうえドラマ版だと明らかに4ストロークエンジンなので、深く突っ込むと泥沼化しそうなのでやめておいた方がよさそう。
 山梨県を拠点に長野県や静岡県までキャンプに出かけ、ソロとはいえ軽量とはいえキャンプ道具一式を積み、小柄とはいえ彼女自身が乗るという使用条件を考えると、2ストロークエンジンのパワー・トルクは合理的な考え。しかし航続距離がカタログデータ通りにこなせるかというと、不安が大きい。それでもアニメーション版、ドラマ版とも平気で150キロ以上の山間部の道のりを移動してしまう、ある意味スーパースクーターだ。
 燃料タンク容量は4.5ℓ。カタログでは1リットルあたり37キロ程度は走れることになっているが、どちらの番組でも、給油の場面は一切ない。だから一瞬、どんだけすごい運転技術と省燃費なのだ? と思ってしまうが、彼女のビーノのトレードマーク(シーズン1に相当)では初心者マークがついている。
 ただし、原作漫画では一度、ガソリンスタンドに立ち寄るシーンが出てくる。この一度だけで、彼女は旅の途上でちゃんと給油しているという設定を裏付けることができる。

 
 当初彼女は、スタンダードなスタイルでビーノを運用していたが、キャンプの活動シーズンが冬場であることや、遠出が多くなったことから、フロントシールドとリアキャリアを追加装備し、ケータイを使ってのナビゲーション用にホルダーと充電システムを取り付ける。
 こうしたアイデアは、彼女の父親のアドバイスと、母方の祖父の経験値と技術によってサポートされる。彼女の両親、祖父ともオートバイ乗りである。
 おそらくは彼女にビーノを与えたのも父親の選択肢によるものではないだろうか。基本的なキャンプ道具も祖父から譲られたテントや食器類で、コンパクトにまとめられている。
 想像を膨らませると、2スト時代の初代ビーノに、二代目のカウル類を切った貼ったで現物合わせし、彼女のパーソナルカラーとして水色/白ツートンに塗装するくらいの趣味的なことを、父親と祖父ならばやっているような気がする。
 番外編においては、点検に出された折、父親の差し金で同じヤマハのトリシティに乗ることから、彼女は小型自動2輪免許を物語のどこかで取得したことになっている。さらに妄想では海外へのソロキャンプトレッキングにまで発展するばかりか、火星にすらテント設営に行ってしまうくらいなので、将来的に彼女の「足」はもっと進化するのかもしれない。