惑星開発用オーバースペック》
 アメリカ国際宇宙開発研究所の所長であるヘンリーが開発した(させたのであろう)惑星開発用ハーレーダビッドソン改造車両。
 一部に原子力エンジンという記載資料もあるが、「マイクロ・ソーラー・システム」が動力源であり、原子炉に依存する必要はないと思われる。ただしこのシステムが「超小型の太陽」という意味合いを持つのであれば、発動機内では核融合が実用化されているのかもしれない。
 しかし仮にもアメリカ国際宇宙開発研究所である。同国国防総省の関与もあるに違いなく、衛星軌道上に太陽光発電所の一つや二つ管理していてもおかしくない大国ならば、そこで発電した電力をマイクロウエーブで送信供給するシステムくらい、このマシンに付与していても不思議ではない。
 第一、原子力エンジンとやらで、この車体が450kgに収められることの方が釈然としない。原子力優先国家かもしれないが、要するにそれは内燃機関としては蒸気機関なのである。
 ヘンリーがそのような旧態依然としたものの考え方で、惑星開発用改造人間という超先進的な技術トライアルを行うのもちぐはぐであり、ここは電力稼働による汎用探検車を作り上げたと想像しておきたいところだ。
 電力は、発電と蓄電のシステムが整備できれば、他惑星上でも有効に使用できるエネルギーなのだから。
 いずれにしろ、同研究所はヘンリーもろとも悪の結社に壊滅させられ資料そのものが残されていない。
 同研究所唯一の生存者であり、惑星開発用改造人間第一号となった沖一也は、仮面ライダースーパー1と名乗り、このVマシーンを常用する。
 10キロ先を視認できるヘッドライト・パワーサーチャー、自動航行コンピューター、高性能レーダー、スーパー1と連動した脳波追跡装置を搭載し、通常時は時速600キロ、Vジェット変形時には時速1340キロへ加速できる。その際、フロントカウルが左右に展開し、後方トランク類からはブースターや安定翼などがせり出すが、いたずらに空気抵抗を増加させるだけにも見える。
 これらはひょっとすると宇宙空間使用時の推進軸として用意されているものかもしれない。
 Vマシーン自体に大気圏突破、あるいは再突入性能はないようであるが、スーパー1の特殊能力である重力制御装置(両足)や冷熱ハンドの冷却ガスを応用することで、再突入は可能のようだ。
 スーパー1までの歴代ライダーマシンにおいて、これほど技術と投資を惜しみなく注ぎ込んだ車体はなかった。それだけにVマシーンでの派手な戦闘は少なく、2号車ブルーバージョンの活躍に場を譲ることが多い。