例年になく静かな大晦日が過ぎていき、景気の悪さのせいか、全国的に天候が思わしくないせいか、天狗の森に登っていく車両の数が少ない。しかし関東平野は御来光間違い無しの予報なので、日の出の1時間前には混雑が始まるかもしれないと、早めに神社へと出かけます。
 この時点で庭先に浜松ナンバーのエスクードが停まっていることには、もはや家人の誰も驚かなくなって久しい。この荒行が始まって、かれこれもう12年くらいになるわけですから。

 
「ことしは・・・ああっ、いよいよあと2カ月だよ」
 
「でもその前に私立の受験が再来週でしょー?」

 高校受験の年回りである霰は、自分自身のために祈願詣でしなくてはと言いながらも、家内安全を唱えていました。霙もまた然りです。彼女たちにとって、父親が単身赴任で東北に出かけるという生活環境の変化は、それなりにショックなのです。変わり映えのしないはずの1年の始まりは、今年に限って、ちょっとしたイベントづくし。でもしんみりとしてはいられないので、お払いを受けて下山したらすぐさま新年会です。
 妹・吹雪の亭主こと隕鉄君も、年始がてら霰に腕時計を届けにきてくれたり、まさかの妙高エクスプレスが現れたり、居眠りをしている暇も無い元日。覇気が出てありがたいことです。各地から送っていただいた年賀状で近況を知り、あるいは笑わせていただいたり、賑やかな正月を過ごしています。
 節目の2011年。どんなことができるのか、また初めの一歩から歩み出していきます。