昔、化石掘り 今、蕎麦すすり
林道三昧省みず・・・

 家族旅行は林道を走ってペンションに泊まって、また林道を走って帰って来るというパターン・・・は、昨年夏の那須で書いてしまいましたが、ごまかしが利かなくなったと言いながらも、あまり変化がありません。
 「遊べるところ! 晩ご飯を豪勢に! 温泉! おみやげ買いたい!」
 どのみち、このリクエストには逆らえないので、注文に応じたルートを考え、だまし討ちのように
 「ここを通らないと美味い蕎麦屋に行けないのだ」
 などと林道を組み込んでしまうのです。
 関東最北端から東北最南端にかけては、メジャーな路線の林道がいくつか存在します。これがまた都合の良いことに、ちょっと出かけていける観光地からアプローチできて、走りやすいフラットダート。出口に目的の蕎麦屋がある。これを経由しても、目的地のいわき湯本には25km程度の距離。もう確信犯です。

 林道ツーリングに関しては、「それってあそこのルート?」とイメージしてもらって、林道案内をしてくれているサイトでご検証ください。フラットダート主体なのは、造林と伐採を現役で営んでいる作業用路線であるためです。ツアラーは作業の妨げになってはならないことを念頭に、そろっと散策するのが望ましいでしょう。
 でも、いわきで基終点に蕎麦屋のある林道。これだけでわかる人にはわかりますね。そのお店「おやじがんこそば」の蕎麦は細麺。好みで冷たい“おやじそば”を食べますが、つゆとの相性から言えば、温かい蕎麦を選んだ方が良いと思われます。うどんもこしが強くて歯ごたえが心地よい。トンカツもなかなかのジャンボサイズ、“スタミナまんてん”な鰻重もありますが、読み違えて家族の失笑を買う羽目に。
 蕎麦屋に面した国道289号線は、いつからなのか、グルメ街道と呼ばれています。蕎麦屋以外にも軽食と蟹飯の田人ホワイトハウス(おやじ〜と同じ経営ですが、別棟の建物が圧巻)、近所にはインド料理と紅茶の店や、喫茶店などが点在しています。四時川ダムや仏具山ハイキングなどの観光休憩点として成り立っているようです。
 その昔、化石掘りに来た頃は、なんにも無かったけどねえ。

 いわき湯本へは、常磐道のいわき勿来ICから1区間を高速道路でショートカットし、温泉街へ降りていきます。エスクードの写真を撮りに行く湯ノ岳、スパリゾートハワイアンズは今回はパスし、JRA競走馬研究所(常磐支所)へ。なんだそれは?と言えば、ここは競走馬専門の“湯治場”、馬の温泉です。脚を痛めた馬たちが温泉両用し、馬場でリハビリをしている様子を見学できます(ただしその様子が見られるのは午前中のみ)
 いわき湯本の温泉の歴史は、文献では奈良時代まで遡れるらしい。領主や藩主の湯治の場として開かれたようで、宿場として栄えたり、炭鉱時代には湯量が下がって衰退したり、揚湯に切り替えて持ち直したりの20世紀までを過ごしているそうです。
 現在は、客観視すれば、やや寂れている。映画「フラガール」のインパクトは、炭鉱の町の姿であって再生のドラマは常磐ハワイアンセンター。湯本の温泉街は、映画のどこにも出てきません。

 そんな町なかの最近の人気スポットは、豊富な湯量を地域解放施設として応用した「あし湯」。国道6号線を走って、隣県の茨城からやってくる常連のご婦人(バレバレだな)もいるほど。日中から混雑しています。夜は多少、風紀が荒れることもあるようで、7:00〜22:00までの開放。それ以外の時間帯は、常磐線湯本駅前の施設を使ってくれというアナウンスが出ていました。
 夕刻に宿へチェックイン。牛しゃぶ食べ放題の晩餐ながら、蟹だ刺身だアンコウの肝だと、「宿泊代これでいいのか?」の豪華版(ホテルいづみやさん、太っ腹!)。しかしそれらを食い尽くしているうちに満腹となり、牛の食い放題からはあっけなく敗退。腹ごなしに温泉に浸かって、枕投げに挑むのでした。