日曜日は終日曇りの予報が覆され、空はどんどん晴れていく。停泊していた花ホテルのロッジにも木漏れ日が差し込み、ぷらすBLUEは幌を取り外して、八ヶ岳牧場から文化自由園へ走り抜ける。頭上に現れる熱気球。空気を暖めるとなぜ気球が空へ舞い上がるのか? おお、理科の自由研究に使える素材。熱気球に乗るのは4年前の北海道以来の霰と霙。八ヶ岳の山並みも雲が切れ始めて姿を現してきた。
 「人が1人降りるだけで浮いちゃうくらい気球が暖まっているよ」
 「空に上がっていた方が風に流されないねー」

 4年前よりも科学的なことをしゃべくるのであった。

 熱気球よりも高いところへ・・・歩くのは(僕が)おっくうなので、リフトを使って登ることにした。標高約1900mある車山の山頂まで、10分足らず。
 
「わたしゃこれを徒歩で登らされたわよ」
 れいんさんは高校時代に学校の合宿で山歩きをさせられている(ひょっとすると、風花さんも登らされたかもしれない)が、僕のときには合宿ハイキングはなかった。が、登りはともかく、下りのリフトというのは絶景ながらも、感覚として気持ち悪い。
 霰と霙は、リフトに乗る、ということ自体が初めて。僕が子供の頃、リフト上からゲレンデに突き落とされたエピソードを親父から聞いていたため、最初はビビっていたようだが、昔のリフトと今の設備では乗りやすさも段違い。ふたつめのリフトに乗り換える時点で、もうはしゃいでいる。
 高原を見下ろすと、火山活動の名残がわかる。四方の山並みを地理的に学習し、地形の成り立ちを調べ、咲いている草花の種類を見て回る。さて、果たして自由研究がどのような形で出来上がるか。夏休みはまだ始まったばかりだ。