水彩画家、村田收さんの作品展「オープンアトリエ2009」が、那須高原の村田さん宅で開幕しました。那須は近所(つくばーど縮尺)ということもあり、これを見学に出かけたのですが、水彩画を観に行ったというよりは、立ち止まりたくなる風景の地を訪ねるツーリング談義に行ってきた、と説明した方が正直者です。
 ことしのオープンアトリエには、たくさんの花の絵が飾られましたが、やはり最初に目に映るのは風景画。福島県の相馬で描いたという海岸線の、打ち寄せてくる波のディティールが、ふわりとしたタッチの多い村田さんの絵の中で、しゃきっとした線を描き出していたからでしょう。
 「茨城の海や水辺だと、どのあたりが良いですか?」
 こうたずねられて、意外と「ここが一押し」と指定できないものだなあと感じながら、対話が盛り上がります。僕は常に車を置いた風景で写真を撮っていて、風景自体はバックグラウンドの感覚。その風景だけを見せてあげても、いいものだろうかと考えるわけです。
 しかしもう一方では、村田さんが描く風景画の中に、エスクードを描き込んでもらえたら面白いのだけれど。などというよからぬことを思いつきもするのです。
 「津軽半島を、9月頃までにひとめぐりしてほしいです。できれば弘前、五所川原から時計回りで。そうすると青森市に戻って来やすいし、そのまま八甲田と奥入瀬に移動していける」
 でも三沢の海辺も良いし、男鹿半島もいいよ。といったツーリング談義で時間が過ぎていきます。
 アトリエの番人(いや番ネコ)、ビヤさんは、今日はお留守かと思っていたらふらりと現れ、霰の膝に乗っかって毛繕いを始めるので、ビヤさんも目的にしていた彼女らは大喜びです。
 アトリエをおいとまして、車なら10分という距離にある真庭ファームのチーズケーキ工房に立ち寄り。村田さんやみしゃこうしさん同様、エスクードを介して知り合った、那須の特異点(つくばーど基準)です。
 さすがは夏の那須。つくばーど in 那須高原を開いた4月頃とは、お客さんの数が段違いで、テラスのテーブル席は満席。そのわりにはちゃっかりと、店内のテーブルでお茶を飲んでしまうのです。トップシーズンのためか、3種類のチーズケーキをセットで頼めるメニューは1日限定14食となっていましたが、この日最後の1セットを捕獲することができました。
 「お父さん、クラシックカー博物館にマッハ号が展示してあるって」
 「ほらほら、ここに書いてあるよ!」

 観光パンフレットを見ていた娘らが教えてくれましたが、そろそろ夕方で、チーズケーキ工房から走っても間に合うかどうか。電話をかけてみたら大丈夫らしいので、ほどよいところで席を立ちます。
 ファームを出る祭、牧場側の家屋の方を見やると、初めて訪れた日に、車券が切れるので廃車になると言われていたTA01Wがまだ置いてあるのを見つけました。ああ、なんと言ったらよいのか、感激の一言に尽きます。
 
「このちっちゃい車、何かで見たことがあるよね」
 「おねーちゃん、あれだよ。『黄金の大勝負!』にちらっと」
 おまえら、カリオストロの城じゃなくてそっちかい。と突っ込みを入れたくなるのでしたが閉館時間も間近。駆け足で展示車両を見学しながら、ヨコハマタイヤが寄贈したというマッハ号の処へ。思ったよりでっかいのね。国産車規格ではなく、アメ車規格。向こうの映画宣伝用プロップだから、無理もない。これを目の前にしてどう楽しむかが肝なのです。霙が二階に上がって、記念写真を撮ってくれました。