雪のあとの空と海
内陸の交通麻痺がうそのよう


 明けて日曜日の南房総は、ご覧の通りの青空。
 例年に比べて、お花畑の様子は一ヶ月ほど遅れているという寒さだそうだが、それでもやっぱり暖かい。
 千倉町のペンション「BEACH HOUSE」をあとに、ツーリングの復路が始まる。
 房総半島の東の突端、野島埼。ここは2004年に開いたBレイド2のCPに設定したところだったが、灯台そのものには関わりを持たなかった。今回も持ちたいとは思わなかったのだが、
 「あそこのてっぺんに登れるのかな?」
 「有料だけれど、登れるよ」
 などとうかつにも教えてしまったため、登りましたよ高さ29m、77段の螺旋階段と、鉄のはしご階段。
 1869年に、フランス人の灯台技師ウェルニーが完成させた西洋式灯台は、その後改築されて現在の姿になっている。さすがに張り出した岬の灯台。雪をかぶった大島もよく眺められる。

 南房総と言えば、富浦、富山、三芳、白浜、千倉、丸山、和田の7町村が2006年3月に合併し、まさしく南房総市に生まれ変わる。今回のツーリングは、館山市を含む8市町村めぐりとしてはラストチャンスでもあった。高速道路と自動車専用道路網の充実によって、大雪や台風に見舞われたりしなければ、ちょっと出かけてこようという距離圏に、南房総は収まりつつある。但しそれは言葉のからくりで、千葉市や東京都から見てのお話。
 えいや! と腰を上げなければ、なかなか機会はないかもしれない。
 そういうことなら、Sレイドの課題地点を二つや三つ、仕掛けてみてもいいのかなあ・・・
 この海鵜なんか、なんとなくわざとらしいでしょ?
 


 今回のツーリングの主たる目的は、花摘み。
 総じて寒さたけなわの1月末に、例年よりまだ少なめと言いながらも、お花畑が点在しているのは、房総半島ならではの風景。
 花摘みが面白いかどうかは、やや疑問が残るところで、こちらはぼんやりと花畑を眺める方に。4人の入場で、合計40本のストックやポピーを束ねて帰ってくる。あ、やっぱり持ち帰りだよね? 荷室が広くなったことは大いに助かる。
 白浜界隈を出ると、花畑はまだ最盛期にはほど遠い。丸山町のローズマリー公園にも立ち寄ってみたが、昨年来たのは3月下旬だったこともあり、あまりにも殺風景な花壇に、ちょっとがっかり。
 この景色の変化は北上するに従って顕著となっていき、鴨川を越えたあたりから路肩に除雪のあとがはっきりしてくる。土曜日夜半、外房側で降っていた雨が雪に変わったそうで、日曜の正午時点で内房側の高速道路、鴨川からの山越え、茂原からの有料道路、九十九里の有料道路のすべてが、積雪ないし凍結によって通行止めとなっていた。

 のんびりと大回りで帰路につこうと、海沿いを北上していく。
 勝浦を過ぎると海岸線の色彩も失われていき、山肌にも雪が残っていた。果たして九十九里有料道路は、夕方には通行止めが解除となっていたが、除雪した雪の多さは想像以上。そのうえ、九十九里浜そのものが一面の雪景色で、太平洋沿いを走っているように思えなくなってくる。
 有料道路を終点近くで下車して、浜辺のそばにクルマを滑り込ませる。地肌が出ているのは波打ち際だけのビーチ。いきなり雪合戦が始まってしまうが、そこそこの積雪のため、砂混じりの雪玉をぶつけられずに済んだ。
 ここで日没。あとは進路を内陸に向けるだけ。外気温時計も氷点下を表示し始める。路面が再凍結する前に帰宅しよう。

 ぐるっと房総一巡りは、銚子を加えない場合、おおむね500kmの行程。帰宅途中に給油した結果、480kmで50リットル。上出来の燃費だろう。