横浜はこれまでも今も、仕事で出かける街。自らが観光やレジャーとして訪ねていくところではなかった。
 
「それなら遊びにいらっしゃいよ」
 はまたにさんとじゅん吉さんご夫妻が、ずっと以前から誘ってくれていた。そういえば新居落成のお祝いもしていないし、何度も素通りして失礼してしまっている。この連休には浜松(を飛び越して岐阜まで視野に入れていた)でのオフラインミーティングに参加することもあるから、失礼の二乗で途中立ち寄りさせてもらおう。
 という予定を立て、これもまた二つ返事で快諾をいただき、さあ連休後半は観光者だぞ。と浮かれているところへ、思いがけないオファーがかかってくるのであった。
 時間的に、連休中に先方とコンタクトをとって顔合わせをしておかないと、後のスケジュールの流れで密な打ち合わせは難しくなる。
 どうしよう。
 しばし考え込んで、はまたにさんに連絡。
 かくかくしかじかでごにょごにょ・・・
 
「そんなことに我が家を使ってもらえるならば!」
 と、まあホントはだいたい一ヶ月分の出来事を圧縮して書いてしまっているのだけれど、かくして横浜買い出し小隊の原案はできあがっていくのである。
 
 すいません。前ふり長すぎ・・・

 はまたにさんちは、横浜といえば大桟橋とか本牧とか元町とか中華街・・・とか、地理的な位置関係の疎い人間には大変ありがたいところに所在している。なにしろ頑張ればそれらの場所へ徒歩で行くことができるのだ(本牧埠頭までは未確認)
 山の手の住宅街(のもう一つ隣)に近接した、南欧風のおうちは、玄関に入る直前から子供たちの探検の場。大人が軒先で彼のエスクードやじゅん吉さんのスクーターを眺めながら立ち話をしているうちに、早くも一階と二階とその上のロフトやベランダの探検が始まっている。
 しまった、人様のおうちを訪問するという社会教育を施していなかった・・・ しかしこの好奇心と行動力がなければ、中華街の雑踏を抜けていくことはできまい。利根川の遙か北に住んでいては、あれほどの人混みなど見たこともないだろうから。
 そんな余剰エネルギーを臨界させつつ、買い出し小隊は(隣の)山の手の丘を越えて、元町へと降りていく。あの閑静さはいったい何だったのかというほどの人、人、人の渦。それはもう、我が家の近所のスーパーマーケットが50や100店舗束になったって敵わないような混雑ぶりの元町。これってひょっとして、中華街から観光客があふれてきている? チャイニーズやハングルな言葉が、すれ違う旅行者たちからいくらでも聞こえてくる。
 ああ、二重にしまった。買い出し小隊はのんびりゆっくり、いつまでもウインドショッピングをしているではないか。ただでさえ混んでいるのに、こんなことでは食事をする行列の最後尾にたどりつけないぞ。
 
「それは心配ありません。ここにはざっと220軒ものチャイニーズレストランがあるんですよ。それに、はまたにさんがちゃんと予約を入れてくれてますから」
 ここでいきなり登場するのが、さらにまたお約束のSIDEKICKさん。という場面で、このページのテキスト余白が無くなるのであった。