2012年6月16日、BLUEらすかるは、地球を10周走り抜けた。
 エスクードで40万キロを越えるのは、二度目のこと。先代とリレーをしたとすれば、すでに月と地球を往復し終えている。ジュール・ヴェルヌの言葉を借りれば「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」というところか。こう言い放つのは不遜かもしれないが、10以内年という期間の中で、二度目の10周目を遂げるというのは、走り出した時にはまさに想像の域だったのだ。
 ヴェルヌのその言葉は、夫人による作り話だ。という説が濃厚だそうだ。ならばこちらから、「想像していたことは、成し遂げられた」と言ってもいいかもしれない。
 この1年で、約6万キロを走った。被災地の瓦礫の中にいたかと思えば、豪雪の夜を移動したり、紅葉を眺めていたら熊と遭遇したりの1年。人に言われるまでもなく、移動の距離感がすっかり変わってしまう、東北での1年。この環境は、まだしばらく続く。
 しかし目標ではなく、通過点だ。そのうえ、どこまで行けるのか誰にもわからない。ここから先のことは、あまり考えないほうがいいかもしれない。走り続けていけば、どこかにたどり着くだろう。