2013年5月4日早朝。44万キロを刻んだのは、青森県三沢市の県道上だった。福島市は桜の時期を終わらせ、盛岡市は満開のピークを過ぎていたが、秋田、青森はまだまだこれからという春の足音を聞く頃合い。3度目の東北6県弾丸ツーリング2日目のことである。
 
 6県を順不同で廻ったため、最初に訪れたのが盛岡。次に田沢湖と秋田と酒田というよくわからないルートをとりつつ、山形市に向けての月山越えでは案の定、除雪後の排雪がうず高く残された冬景色であった。
 不合理極まりないと思われがちなコースを経て仙台に戻るわけだが、これはこれで体力温存策なのである。2日目に一気に下北半島を縦断して大間へ向かうため、その起点をつくばーど基地にするよりも、仙台の作戦室にした方が楽だったからだ。
 44万キロは、その大間への道のりで刻めるであろうとの計算もあった。ただし誤差を考えると、あわや八戸自動車道の途上という懸念もあったから、案外冷や汗ものではあった。
 大間、尻矢崎ともに春の景色は程遠く、桜前線の動きが安代あたりで足踏みしていたように思われるが、仙台に戻ってくると、定禅寺通のケヤキ並木は新緑がどんどん芽吹いており、春の尻尾に触れているよう。3日目に基地へ帰還する途中、相馬の港に立ち寄る頃には、夏日に近い外気温が待ち受けていた。
 もうすぐ40万キロを越えてから1年となる。このツーリングを終えたら、冬装備を外す。