霰と言えば、今を去ること16年前、先代のТA11Wに「らすかる」という名前を与えたその人である。その霰がBLUEらすかるを運転する。
親ばかとでもなんとでも言ってもらおう。19年間待ち続けた日が訪れたのである。
ただし前途多難でもあり、
「この車、まっすぐ走らない!」
と、いきなりクレームをつけられる。長年の運用でステアリングのセンターがずれているのだが、こちらは長年の慣れでそれを補正しつつ運転していたのである。
そりゃあ初めて運転するほうが怒るのも無理はない。
しかし、運転しにくいとはいえBLUEらすかるに初心者マークがついている光景は、極めて新鮮。当人もまんざらではないようで、家を通り過ぎてしばし慣熟運転のドライブを行う。
このあと51万キロに到達したことで、フジ・オートでRECSを施工する。RECSはインテークマニホールド〜燃焼室内に付着蓄積されたカーボンやスラッジを除去し、燃費効率を維持するケミカル洗浄剤だ。
ここからはブログ記事の再掲。
施工から3日くらいは、吸気系に残った洗浄剤の影響なのか、溶融されたカーボン類が圧送されるからなのか、燃焼が不安定になったような音が聞こえていた。施工後300キロ走ってすぐにオイル交換しているが、洗浄された汚れが燃焼しつくされるとは考えにくく、エンジンオイルに混入した分が残留すると想定すると、これはちょっと早すぎたかもしれない。
一方、BLUEらすかるは一回の走行距離が最低でも300キロと高速道路の移動が多いので、もともと吸排気系への負荷は平準的に掛けられているため、ケミカル洗浄に関しては樹脂類への攻撃性を除けば悪い傾向ではないとも思っている。
アクセルのレスポンスが上がるというのは、V6でATミッションで基準より大径のタイヤを使っているこの車に関しては、体感できても劇的な変化ではない。
ただ、ATゆえにアクセルの踏み込みからのタイムラグが大きく、V6ならではの「一度回転を落としてからのトルクの回復がもっさりしている」という癖を思い浮かべると、施工の前後比較では素直に回るエンジンになったと言える。
燃費改善は、こういうものは3段論法の一角にすぎないと思う。現状で言うと、2000回転から2500回転で時速100キロまでの速度域でリッター11キロに届くか届かないか。これはタイヤサイズの問題と、ドライバーの体重という大問題をかかえているので、標準だったらもう少し良い数字が出るのかもしれない
でもとりあえずカタログ数値はクリアしている。もちろん3000回転以上で走れば数字は明らかに落ちるのだが。
なにしろ51万キロの老体。小淵沢あたりの傾斜地を一直線に登る道路などは苦手になっていたが、施工後に同所へ出かけた折、3名乗車で荷物を積んでいて「あー、以前はこうはいかなかったよ」というトルク感に余裕の登坂をこなした。これが最も大きく体感できた違いだ。
ひとつ気になるのは、RECSだけではなく燃料側からの洗浄を行う「フューエル1」も同時に使っているという点で、はたしてどちらの方が効果を出しているのか。単品だけだったら異なる結果になるのではないか。という検証が必要かな、というところ。
また、忘れてはならないこととして、ケミカル剤がパッキンなどの樹脂類に「悪さをしない」という証明がなされていない。
添加剤の類も同様で、副作用としてオイルにじみが発生することは、過去にも経験しているから、万能ではないと考えている。もっとも、スズキのエンジンに関して言えば、オイルシールは脆弱につき劣化交換して当たり前というつきあいを長年しているので、にじみ程度では僕は動じなくなっている。
結論としては、劇的な改善は望まないけれど、ちょっとした変化で運転しやすくなっていることは大いに歓迎できる。
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