2017年7月20日、650000キロに達する。
 例によってアポロ11号月着陸の日。3年前、500000キロ到達以来の同じ日が巡って来た。梅雨明けが宣言されていない東北地方だが、日本海側は立派な真夏である。山形から青森へ、ただひた走るだけの道のりが、なんとも痛快。

 6日後にはエスクードも小排気量化とターボ化されるという現在、小型車のボディに大排気量エンジンを積む初代は、過去の遺物として対極に押しやられようとしている。
 だが自然吸気の6気筒はツアラーモデルとして悠然と走り、踏み込めば多少は勝気なレスポンスを発揮する。BLUEらすかるの場合は大径化されたタイヤが瞬発力を相殺しているが、ライトクロカン用に組んだ足回りはオンロードでもしなやかに動く。
 このモデルが登場したのは21年も前のことだ。歴代モデルは性能としての進化を遂げているが、初代の「危うさ」と裏表の「愉快さ」の両立は薄れ失われている。
 そこは言葉でうまく説明できない。しかし歴代のいずれとも異なる唯一無二が、確実にあるのだ。
 笑ってもいいよ。自己満足のできないクルマであったなら、その方がずっとつまらない。

 鶴岡から北上して横手、秋田、大潟村を廻り、能代で650000キロを刻んだ。明日はこれを南下して青森を起点に新潟から関越軽油で帰還する。
 一晩で東日本を走りきる荒行と、走り出したら止まらない弾丸をこなしていた二人の友人がいる。彼らがどれくらい痛快な顔をして走っていたか、理解できる。