2020年11月月30日、790000キロを刻んだ。
 自動車としては末期と宣告された秋が過ぎていく。
 

 事の始まりは、他愛もないエンジンオイルの滲みと、ごく少量の漏れ。周知のメンテナンスだと気軽な気持ちで預けようとしながらも、いっそのことオーバーホールまで敢行しようと依頼をかけたが、現在のスズキ自販にH25Aをばらして組み直すスキルを持った整備士がいないという。
 そこでかつてエンジン交換の折に手を入れてくれた人を紹介してもらい系列の営業所に持ち込んだものの、ミッションや排気系などエンジンと接続している部分の劣化が激しいと診断され、脱着自体が危険、すべて交換修理となれば軽自動車を新車で買える費用と大幅な時間がかかるとのこと。
 遠回しだが、そこまでやって不具合が出るようなことがあったら・・・いや確実に不具合はやってくるだろうから、信用問題も含めて引き受けられないと言われてしまった。
 理解のできる話ではあるが、それはあくまでディーラーとしての判断。これだけの距離が出ているのだから、費用と時間をかけてでも手入れしなくてはならないというこちらの決心は通らなかった。
 主治医がオイル管理と液体パッキンでこまめに点検・オイル交換する方法で様子を見ようという線に落ち着いた。
 価値観の相違は何処まで行っても平行線でしかない以上、納得できるまで手入れを続けるが、それは諦めのつくまで、という意味ではない。
 末期宣告を受けて3週間。11月の満月が昇る夕刻、水平線を眺めに出かけ帰路につき、帰宅で790000キロとなった。