Exemplary 
We are deeply in the ESCUDO.
OFF ROAD
コースを走る
 ネックは対地アングルとロードクリアランス

 それ自体はどんな四輪駆動車でも同じ課題。
 エスクードの場合、そのスタイリッシュなボディラインとしてデザインされた前後バンパーが、特にモーグル地形やロックセクションを敬遠させる。3代目エスクードに至っては、実際のところクロスカントリー性能は放棄し始めている。それは見た目ではっきりしているし、下回りのパーツ配置からも、この手のセクションが苦手なことは否定できない。
 しかし、四輪独立懸架のリアサスは、それほど悲観したものではなく、強度面の不安は別にしても、そこそこの動きは見せる。アフターマーケットのサスペンションキットを組み込んでいれば、ロックセクションの低難度コースは、アタックが可能だ。
 機械式のLSDや、ESPといったデバイスの助けも大きい。もちろんこれに依存しすぎると、抜き差しならない状態までのめり込んでしまうこともあるが、なによりこの2.7XSは、ここで紹介しているテーブルロックをクリアしている。
 大柄なボディはライン取りでいなしていくしかないが、今回はサイドビューモニターを装備したという。飾り物のようなサイドアンダーミラーよりも確実に死角をとらえることが出来、前回のアタックよりも落ち着いた乗り越えをこなしていた。


 LSDとハイトアップは歴代の定番。2代目は自作パーツに注目

 上に紹介している5ドアボディの2代目は、赤がLSD装備の5MT、白が未装備の4AT(しかも大胆にも初ロック)という違いがある。足まわりはコイル延長スペーサーなどで上げてある。LSD未装備のハンディキャップは、アクセルワークに集中できる4ATでカバー。リアサスはリジッドながら、リンクで固められている分、初代に比べると幾分不自由そうだ。
 同一車種だけに、紅白対決としては、紅組のようにショックの延長キットまで入れていないことで、白組の敢闘賞と言ってあげたいが、ライン誘導しているのは紅組のドライバー。助け合ってコースを楽しんでいる。それにしても気が付くのが遅かったが、補助灯をバンパーにビルトインしていると、バンパー破損時には共倒れになるが、鼻先がすっきりしている分、アプローチ時のクリアランスは(ぶつけなければ)意外と安心感がある。
 下の段は、グランドエスクードのアタック。前期型(クールベージュ)は、4インチのボディリフトに大径タイヤで大幅なクリアランスを確保。更にスキッドプレートとタンクガードを一点もので製作・取り付けしており、間近で見る迫力は一見に値し、その走破性も群を抜いている。後期型(白)は、初代用のコイルスペーサー流用(リア側には取り付けの工夫が必要)によってクリアランスを稼いでいる。双方、モンローのアドベンチャーをショックに採用している。これは最初から後期型不利・・・と思われるが、実はリアサスに対して、ショックの延長ブラケットを自作で組み込んでおり、伸び側では約90mmが確保されている。
 グランドエスクードは、この長いホイルベースと車体が緊張感を高める。レギュラーサイズのエスクードとは、同じラインを踏襲できても、リアがクリアするまでのラグが生じる。特にリアホイール以降の長さには要注意だ。
 これに対して、2代目のショートボディは、一連のエスクードがアプローチしたラインとは逆側、「上がりにくく降りやすい」ルートをも攻略できる。もちろんこのTA52Wも、林道などのダート仕様に足まわりを換え、コイルやショックの延長ブラケットを入れている。タンクガードを実装している以外、余計な外装品を取りつけない潔さも、見た目ノーマルながら一段高い走破性を実現している。
 

 各エンジンの特性が比較できる初代

 ページ冒頭のTA01Rは、唯一1600ccクラスの紹介例となるが、なにしろ軽量さと見合ったトルク量を持つエンジンとの相性がいい。前後バンパーを交換し、フロント・タンクガードを装備。この日唯一のMTタイヤを履いているが、実は足まわりは純正。それでもトルクとトラクションの掛かり具合を味方につける。
 TD51W(下の段の上って、同じ色だけにややこしい)には、カヤバのショックを軸に前後ショックのダウンパーツ、コイルスペーサー等が組み込まれ、さらにメーカー純正機械式LSDが取りつけられた。小さな横滑りは防げないものの、各位と同じアプローチで乗り上げが可能になった。安定したスペックのJ20Aと4ATの組み合わせも、ライン取りに集中できる。
 TD61W(下段下)は、そもそもツアラーエンジンと評価すべきV6だが、2500ccの低速トルクは、同じV6の2000ccモデルと比べて、オフロードでのじわじわとした走りにも用いることが出来る。この個体はオープンデフのままだが、やはり4AT(6系には5MTが存在しない)との組み合わせが功を奏する。タイヤも16インチホイールながら、3代目XEと同じサイズに上げられている。もっともこの61Wは、他車と比べて反則わざと言われそうなリアサス容量アップが施されているため、見た目以上に走破性があり、TA52Wと共に、逆側からのアプローチが可能だ。

 どの世代のエスクードも、足まわりの変更とライン取りの見極めによって、いくらかはマシなオフロード走行性能を見いだすことが出来る。しかしこれは、ある程度の安全な環境が確保されたコースでのお話であり、エスクードもちょっといじればそこそこ走るという紹介例。特にノーマル仕様のユーザーさんは「同じクルマだから」と真似をなさらないように。壊しても一切責任は持ちません。


Egress