Exemplary 
We are deeply in the ESCUDO.
ニーズに応えた意欲作

 TX92W、グランドエスクードは、2代目エスクード後期型へのマイナーチェンジ時に追加されたモデルであり、スタンダードモデルのエスクードと並んで2型から始まっている。
 進化は4型までの3世代に留まり、4型はフロントマスクを大きく変えただけでなく、インパネレイアウトや内装にも手を加え、5速ATを搭載した。ベースモデル以外にヘリーハンセン、KANSAIエディション、FISリミテッド、Lエディションなどの特別仕様、特別限定も展開しているため、バリエーションは意外に豊富だ。
 ヘリーハンセンにはサードシートを排除した5人乗りモデルと、社外コーディネートのフロントバンパーなどを装備したものがあり、この特別仕様バンパー類はFISリミテッドにも採用されている。
 販売は不振であったと言われているが、ユーザーにグランドエスクード購入のきっかけを尋ねると、
 「家族全員を乗せるための7人乗り3列シート」
 「後部座席を畳んでのカーゴスペースの広さ」
 「その2つの条件を兼ね備え、尚かつフレーム+ボディ構成の、ローレンジを持つ4WD」
 と、ニーズが極めて明確。それはおそらく、歴代のどのエスクードよりもはっきりした選択肢によって導き出されている。
 3列目のシートは手狭ではないのか?と聞いてみたが、2列目のシートを上手にアジャストすれば、足元の窮屈さもなく、もともと高い室内高も相まって、大人の7人乗車に不安はないそうだ。
 集まっていただいた6台が6台とも、足まわりを換え、タイヤサイズを変更してクリアランスを上げている。さらに各種ガード類やボディリフト、デュアルエグゾーストまで、アフターマーケットからワンオフ制作までを駆使してカスタム化を進めており、クロスカントリー仕様あるいは林道仕様といった、オールラウンド性能の高さをアピールする。
 “コンパクトサイズだからこそのエスクード”という、エスクードに与えられたリーディングイメージとは裏腹に、“狭い”“荷物がろくに積めない”という、市場の声も大きかった。まったくもって不特定多数の声というものは正直であり無責任なのだが、グランドエスクードは確実にその声に応えたモデルだ。しかしそうすると、“でかい”“長い”の我が儘な声も吹き出してくるのは、もはやご愛敬だ。
 そのなかで、グランドエスクードを乗りこなしているユーザーには、その方向性こそ思い思いだが、このスペックを待っていたのだという意志がみられる。唯一、乗り換えざるを得なくなった1台に関しては、3人目のお子さんが生まれるという慶事に伴い、さすがの3列シートも、3つのチャイルドシートを搭載するには、スライトドア式のミニバンに対して乗り降りの不便が出てしまうことだった。だがそれは、グランドエスクードだけに限ったことではなく、4枚ドア・3列シートのどんな車にも言えることだ。
 エスクードは初代モデルにおいて、既に小型車枠の域を出ているが、それはコンパクトクラスの車体に2500ccを積んだことで、アプローチの方向が異なる。ミドルクラスに先鞭をつけたという意味では、名実共にゆとりを産み落とそうとした意欲が、グランドエスクードの存在意義と言えるだろう。
 

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