Exemplary 
We are deeply in the ESCUDO.
こだわりのリミテッド
 2008年11月、宮崎県のスズキアリーナタカナベ(友草自動車)から、10台限定の特別仕様車が発売された。
 ZIPBAITSリミテッドバスデイ株式会社(愛知県)のジップベイツ事業部がリリースするルアーブランドとのコラボレーションとして、釣り師が振り返るエスクードの誕生だ。
 ヘリーハンセンリミテッドやサロモンリミテッドのような、メーカーをあげての特別仕様とは異なり、特定のアリーナ店が独自に企画した、いわばご当地リミテッドに属する。こうした事例は初めてではないが、企画者にこだわりがなければ生まれてこない、貴重なモデルなのだ。

 ZIPBAITSリミテッドの概要は、2.4XGオーディオレス仕様、3.2XSからオーダーを受け、ディーラーオプションのクロームメッキフロントグリルとフロントアンダーガーニッシュを装備する。車体色はカタログ色から選択でき、同色のスペアタイヤハウジングも用意されるが、ここに「ZIPBAITS」のオリジナルロゴをあしらったエンブレムが取り付けられる。デカールではなく、メッキ仕様の立体エンブレム。この小さな演出によって、エクステリアはカタログモデルと一線を画す。
 インテリアにおいては、運転席にネオプレーン防水素材のシートカバーを追加。刺繍もののZIPBAITSワッペンも取り付けられている。また、天井に7本掛けのカーメイト製ロッドホルダーを装備。ロッドホルダーはユーザー心理として、購入しようか見送ろうかと迷いがちなアイテムだが、これを迷わず取り付けることで、アングラーのための1台を仕上げている。
 小売希望価格はXG(4AT)199万円、XS(5AT ※同リミテッド用リーフレットの記載は誤り)240万円のワンプライス(登録費用など諸経費別)。全国どこへでも、アリーナタカナベ店長・友草清一氏ご自身が納車を担当する。
 リミテッドとしての装備は少なめだが、数の問題ではなく、アングラーのための特別仕様という明確なアプローチこそが、このモデルに与えられた価値観。初代モデルの初期には、このようなこだわりの限定車が存在した。そのメッセージが、ZIPBAITSリミテッドからは伝わってくる。

 「私は趣味(半分仕事)で釣りをするのですが、エスクードはオフロード性能に優れているので、釣り師にはもってこいの車です。 釣り師向けの特別仕様車を考えていたところ、交友のあるZIPBAITSさんから協力をいただくことが出来ました」

 店長の友草さんは、ご自身もTA01Wを所有していた経験から、エスクードと釣り師の出かけるフィールドを熟知していらっしゃる。
 ところで友草清一さんといえば、ご自身のコメントにもあるように、磯釣りでは車屋さんの肩書き以上に有名人。2004年から2006年にかけて、ヒラスズキでは世界記録保持者であった実績を持ち、オオニベにおいては現在「ジャパンゲームフィッシュ協会」の公認日本記録を持つ人物だ。
 半分仕事(半分なのか?)の趣味が高じて、オリジナルなリミテッドが実現したわけだが、ディーラー内オプションだけで完結させないこだわりと、エスクードをどんな風に使いこなすかの売り手からの提案という、大事なエッセンスを保有している。
 もちろん使い方はユーザー側の自由であり、このリミテッドも万人向けの演出ではない。しかし売り切りではない、キャッチボールの出来る車屋さんとの対話は、楽しい。ちなみに2009年1月現在、残り僅かでまだオーダー可能だ。 

このページの写真、図版はスズキアリーナタカナベさんのご協力により掲載しています。

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